今回のテーマ
2023年度審査委員アンケート
デザイン 三問三答
2024.03.26
2023年度のグッドデザイン賞の審査には、国内外のデザイナーや専門家など、各分野の第一線で活躍する約90名の審査委員が集まりました。そんな審査委員らに、改めて「デザイン」についての素朴な疑問を投げかけた、三問三答。第1回目である今回は、アートディレクター 水口 克夫さんや、弁護士の水野 祐さんなど多様なメンバーの回答を紹介します。
デザインに関わるようになったきっかけは?
小学生の頃はマンガ家になりたかった。でもストーリーを考えられず、表紙の絵を模写することに喜びをおぼえた。1枚の絵の中にイラスト、文字などを配置することがデザインだと気づき、地元の美大に進学した。
最近、影響を受けたことは?
長年花粉症に悩まされていた僕が、2023年2〜4月中旬までの2ヶ月半、毎日キクイモとゴボウを食べ続けたら、薬を飲まなくても無事に過ごすことができた。さらに、体重が3キロ、腹囲が3センチ減少。食べるものが人間をつくると改めて認識した。
デザインに「できること」って何?
人間の体を誰かがデザインしたのだとすれば、僕たちはその体を生きながらデザインし続けている。そんな視点で世の中を見渡せば、デザインができることはまだまだあるはずだ。
水口 克夫
アートディレクター | 株式会社Hotchkiss 代表取締役社長
金沢美術工芸大学卒業。株式会社電通を経て、2012 年株式会社Hotchkiss を立ち上げる。広告、グラフィックデザイン、パッケージデザインなど、様々なブランドのアートディレクションを手がける。金沢美術工芸大学名誉客員教授、京都芸術大学大学院(通信教育)教授。著書に『アートディレクションの「型」。デザインを伝わるものにする30のルール』(誠文堂新光社)、『安西水丸さん、デザインを教えてください!―安西水丸装幀研究会―』(Hotchkiss) がある。
デザインに関わるようになったきっかけは?
ちいさいころからクルマの絵を描くのが大好きでした。
最近、影響を受けたことは?
Generative AIの進化にはびっくりしました。
デザインに「できること」って何?
せかいをシアワセにできる
根津 孝太
クリエイティブコミュニケーター | 有限会社znug design 取締役
千葉大学工学部工業意匠学科卒業。トヨタ自動車入社、愛・地球博『i-unit』コンセプト開発リーダーなどを務める。2005年(有)znug design 設立、多くの工業製品のコンセプト企画とデザインを手がけ、企業創造活動の活性化にも貢献。「町工場から世界へ」を掲げた電動バイク『zecOO』、やわらかい布製超小型モビリティ『rimOnO』などのプロジェクトを推進する一方、GROOVE X『LOVOT』、トヨタ自動車コンセプトカー『Camatte』などの開発も手がける。グッドデザイン金賞、iF デザイン賞、日本感性工学会かわいい感性デザイン最優秀賞、JAPAN WOOD DESIGN AWARD 最優秀賞、他受賞。
デザインに関わるようになったきっかけは?
デザイナーのサポートという形で弁護士としても関わってきましたが、 法やルールもデザインの対象になりえると思えたことが転機になりました
最近、影響を受けたことは?
最近あらためてレコードを聴くことに影響を受けています
デザインに「できること」って何?
何らかの「きざし」や萌芽を見つけやすくしたり、ポジティブな形で広げたりすることではないでしょうか
水野 祐
弁護士 | シティライツ法律事務所
弁護士(東京弁護士会)。Creative Commons Japan理事。Arts and Law理事。九州大学グローバルイノベーションセンター(GIC)客員教授。慶應義塾大学SFC非常勤講師。note株式会社などの社外役員。テック、クリエイティブ、都市・地域活性化分野のスタートアップから大企業、公的機関まで、新規事業、経営戦略等に関するハンズオンのリーガルサービスを提供している。著作に『法のデザイン −創造性とイノベーションは法によって加速する』(フィルムアート社)、連載に『新しい社会契約(あるいはそれに代わる何か)』(WIRED JAPAN)など。
デザインに関わるようになったきっかけは?
それしか出来なかったから。楽しかったから。
最近、影響を受けたことは?
最近でもないけど気候変動、環境問題。自分の価値観が大きく変わりました。
デザインに「できること」って何?
世界をHappyに変える事。逆もあるかもしれないけど…
玉井 美由紀
CMFデザイナー | 株式会社FEEL GOOD CREATION 代表取締役
株式会社本田技術研究所デザイン室を経て、日本で唯一の CMF デザインを専門とする会社、株式会社 FEEL GOOD CREATION を設立。自動車、家電、建築、インテリアなど幅広い業界に向けた世界観づくり、 CMFのデザインの ディレクション・デザイン・コンサルティングなどを行っている。またCMFの知見と、ものづくりネットワークを活かした、サスティナブル素材開発、循環社会のコンセプト開発にも力を入れる。素材や加工などを中心とした日本の ものづくりを活性化する活動 「CMF TOKYO - SENSE」主催。武蔵野美術大学、長岡造形大学非常勤講師。
デザインに関わるようになったきっかけは?
工学部応用物理出身の私にとって、実装化への近道が「デザイン」であると知って、頭から離れなくなった経験があり、それが今の道につながっています。
最近、影響を受けたことは?
デザイン8団体が1つになったDOOの各団体のプレゼンテーションがとても良かった。大阪中之島美術館のデザインとアート展も再び考えさせられるものがあった。
デザインに「できること」って何?
「デザイン」とは、「今よりもよくすること」だと思います。モノもコトも、いつもいきづまった状況を打破する突破口になりえるのが「デザイン」であると信じています。
村田 智明
プロダクトデザイナー/デザインプロデューサー | 株式会社ハーズ実験デザイン研究所 代表取締役/大阪公立大学 研究推進機構21世紀科学研究センター イノベーション教育研究所 客員教授
デザイン思考から企画開発をサポートするデザインシンクタンクを運営。S.S.FB法や感性価値ヘキサゴングラフなどを提唱。国際アワードを200以上受賞しNewsweek「世界が注目する日本の中小企業100社」に選定。2020年に社会課題解決のスタートアップをデザイン投資で支援する「ハーズデザインファンド」を設立。著書『ソーシャルデザインの教科書』、『問題解決に効く行為のデザイン思考法』、『感性ポテンシャル思考法』、『バグトリデザイン』。
Journal編集部
編集・執筆
ウェブメディア「.g Good Design Journal」の編集チーム。デザインの新しい可能性を探るため、グッドデザイン賞の運営事務局と、外部メンバーが共同で企画・運営をおこなっている。