focused-issues-logo

グッドデザイン賞で見つける 今、デザインが向き合うべき 課題とは

審査プロセスをとおして 社会におけるこれからのデザインを描く、 グッドデザイン賞の取り組み「フォーカス・イシュー」

thumbnail

2024年度フォーカス・イシュー

「2024年度フォーカス・イシュー」を考える

企業で、デザイナーが“はじめの一歩”を踏み出すには?──パナソニック臼井重雄 富士フイルム堀切和久 × グッドデザイン賞齋藤精一

2025.4.21

2024年度フォーカス・イシューの取り組みとして、東京ミッドタウン・デザインハブにて開催されている「はじめの一歩から ひろがるデザイン展」。本企画のオープニングではパナソニック臼井重雄氏、富士フイルム堀切和久氏をお招きし、トークセッションを開催した。"デザイン×経営"の先頭を走る面々の考える、企業における「はじめの一歩」とは。


2025年2月25日、グッドデザイン賞が2024年度フォーカス・イシューを総括したレポート『FOCUSED ISSUES 2024 はじめの一歩から ひろがるデザイン』を公開した。

このレポートは、グッドデザイン賞の審査過程の中で見えてくるその年ごとのデザインの“うねり”とその具体例、そして「うねり」を未来へつなげるためのアクションやヒントを捉え、次なるアクションへと繋げる提言としてまとめたものだ。

はじめの一歩から ひろがるデザイン:2024年度フォーカス・イシューレポート公開

同年3月13日からは、今年度フォーカス・イシューをより広く知ってもらうための取り組みとして、展示イベント「はじめの一歩から ひろがるデザイン展 - グッドデザイン賞2024フォーカス・イシュー -」が東京ミッドタウン・デザインハブで開催された。本記事では、同イベントのオープニングを記念して開かれた特別トークセッション「デザイン組織からひろげる、はじめの一歩」の内容をまとめてお届けする。

登壇したのは、パナソニック ホールディングス株式会社執行役員でパナソニック株式会社のチーフ・クリエイティブ・オフィサー(CCO)も務める臼井重雄と、富士フイルムホールディングス株式会社執行役員デザイン戦略室長で、富士フイルム株式会社のデザインセンター長も務める堀切和久。2024年度グッドデザイン賞審査委員長の齋藤精一が、聞き手を務めた。

日本における“デザイン×経営”の先頭を走り続けるパナソニックと富士フイルム。それぞれのデザイン部門を牽引する臼井と堀切の話から、デザイナーが社内で「はじめの一歩」を踏み出すためのヒントを探っていく。

「研究とデザイン」から見えること

トークセッションは、「デザイン組織からひろげる、はじめの一歩」という言葉のもと齋藤が用意したいくつかのトークテーマに沿って進められた。

1つ目のテーマは「数値にしにくい『デザイン』の評価軸の捉え方」。齋藤はこのテーマを設定した背景について、グッドデザイン賞の審査プロセスでの実体験も踏まえながら次のように語った。

齋藤 たとえばパナソニックさんは、電動シェーバー「ラムダッシュ パームイン」で2023年度のグッドデザイン金賞を受賞されました。このプロダクトが生まれた経緯について、「デザイナー側からの社内での提案を、商品企画側が受け入れたことから始まった」という話が印象に残っています。

一方で、グッドデザイン賞の審査委員をしていると、さまざまなブランドやメーカーの方から「社内でデザイナーの取り組みが評価されにくい」「どんな貢献をしているのか数値化しづらく、提案も受け入れられにくい」といった悩みを聞くことも少なくありません。

お二人はデザイン部門の責任者として、会社の中における「デザインの評価」にどのように向き合っているのか。その姿勢や考え方、具体的な取り組みについてお伺いしたいと考えました。

この問いに対し、堀切は“研究者”の例を挙げながら、「デザイナーの評価」に対する考え方を述べた。

images01
堀切和久|富士フイルムホールディングス株式会社執行役員デザイン戦略室長、富士フイルム株式会社執行役員デザインセンター長。多摩美術大学を卒業後、1985年富士フイルムにプロダクトデザイナーとして入社。代表作は初代「チェキ」のデザイン。デザイナーとしての国内外デザイン賞の受賞歴は多数。2014年デザインセンター長に就任し「誠実なデザイン」(フィロソフィー)を掲げカメラや化粧品から医療機器まで幅広い領域のデザインを推進する。2017年西麻布にCLAYスタジオ、2023年南青山に 新CLAYスタジオを開設し、執行役員としてデザイン経営を実践している。

堀切 弊社は銀塩写真に関する技術を発展させながら、成長を遂げてきた歴史を持っています。研究開発から、多くのプロダクトを生み出してきました。それを支える存在として、今も多くの研究者が所属しています。

研究には、文字通り多くの時間を要します。一人の研究者が生涯のうちに、新たな技術を一つでも生み出せたら上出来。それが当たり前とされる世界です。

だからこそ、研究者の評価は難しい。必ずしもすぐに成果が出ないうえに、不確実性も高い。それ自体が直接利益を生み出すわけでもありません。ですが、弊社の歴史をみても研究者たちが弊社における価値の源泉であり、不可欠な存在であるのは言うまでもありません。

同じとは言えないものの、デザイナーの取り組みにも近い部分があるのではないかと考えています。つまり、すぐには成果が見えづらく、利益に直結しないことも多い。だからこそ、評価が難しい。どのプロセスをどのような基準で評価していくのか、研究者のそれと同じように、非常に奥が深いテーマだと考えています。

images02
富士フイルムは、2019年に「結核迅速診断キット」でグッドデザイン大賞を受賞した。写真現像の銀増幅技術を応用し、尿中の僅かな成分から結核菌の存在を判定可能にした画期的なプロダクトだ。この開発にも、研究者やデザイナーの少なくない貢献があったのではないか

この話を受けて、パナソニックの臼井はデザイナーならではの価値発揮と評価について言葉にした。

臼井 デザイナーならではの能力の一つに「整理・統合・可視化」があります。この価値を理解してもらうことが、評価においても重要なのではないかと思います。たとえば弊社の場合、研究開発の初期段階では「アイデアや考えはたくさん出ているが、まだ散らばった状態」といったことが少なくありません。

そこで、デザイナーが出ているアイデアを整理・統合し、ビジュアルで見えるように可視化する。そうしてわかりやすい形に整えられることで、議論が進むようになり、新しい可能性が見えてきます。他の人の想像力を掻き立て、物事が一気に動き出すこともある。

技術に込められた潜在的な価値を引き出し、物事を前進させる。それこそデザインならではの力だと思っています。

images03
臼井重雄|パナソニック ホールディングス株式会社 執行役員 デザイン担当/パナソニック株式会社 執行役員 チーフ・クリエイティブ・オフィサー(CCO)、デザイン担当、ブランド・コミュニケーション担当。1990年 松下電器産業(現パナソニック)に入社し、AV機器や家電のデザインを担当。中国・上海デザインセンター立ち上げ、現地発のデザインを生み出す組織へと成長させる。家電デザイン部門の変革を皮切りに、2019年 デザイン本部長として全社のデザイン改革をリード。2021年 執行役員に就任。同年よりパナソニックグループのデザイン経営を主導している。

経営とデザインの距離は、どうあるべきか?

「評価」に続くテーマとして、齋藤は「財務と非財務|企業におけるデザイン価値」を提示した。

ここまでの堀切と臼井の話にもあがったように、デザインが果たす役割には財務、つまり「売上高や利益」といった成果に直結しない部分も少なくない。ゆえに評価が難しく、その経済的な効果が議論の的になったり、企業内での価値が揺らいだりすることがあると、齋藤は背景を語る。

こうした“難しさ”に対し、執行役員という経営に近い立場から組織を率いる二人は、どのような姿勢を持っているのだろうか。

堀切 前提として、事業活動の中には数字に置き換えられる部分と置き換えられない部分がありますよね。たとえば、先ほども触れた研究開発などは「今はこうだけど、将来こうなるはず」といった長い時間軸を前提に進むもの。だから、すぐに数字へ置き換えられるものが多くありません。

一方で、コンシューマー向け製品の販売などは、短期的に売上が可視化されやすく、口コミの件数なども把握しやすい。数字で語れる部分が比較的多いんです。

重要なのは、こうした性質の違いを社内でしっかり伝え続けること。つまり、数字にできるものとできないものがあるし、物事の一部だけ、言い換えれば“デザインだけ”を見て評価するのには、限界があるということです。当たり前の話に感じると思うのですが、こうした性質の違いをわかりやすく、経営層に対してコミュニケーションし続けることは、簡単ではありません。

そういう考えもあって、私たちは社内で無理に数字を作らないように心がけています。わかりやすい価値とわかりにくい価値、その両方を素直に、バランスを見て織り交ぜながら、伝えていくようにしています。

この話を聞いた齋藤は続けて、「デザインと経営の距離感」について問いかける。

齋藤 「デザイン経営」という概念が広く知られるようになりましたが、それも含め、デザインが経営と密接なものとして語られることが徐々に増えてきました。

そうした変化も踏まえたうえで、デザイン部門は経営により近づいたほうが良いのかどうか。デザイン部門のあり方について、お二人が感じることがあればお伺いしたいです。

images04
齋藤精一|パノラマティクス主宰、2024年度グッドデザイン賞審査委員長。建築デザインをコロンビア大学建築学科で学び、2006年、株式会社ライゾマティクス(現:株式会社アブストラクトエンジン)を設立。社内アーキテクチャ部門を率いた後、2020年に「CREATIVE ACTION」をテーマに地域デザイン、観光、DX等を手がけるデザインコレクティブ「パノラマティクス」を結成。2025年大阪・関西万博EXPO共創プログラムディレクター。

これに対し臼井は、経営だけでなく、世の中に対しての距離感も共に考えることが重要ではないかと考えを述べた。

臼井 経営層の“近く”にいることも大事ですが、一方で生活者や世の中の“近く”にいることも大事だと思っています。いくら経営の観点から物事を捉えられていても、世の中のリアルを知らなければ、本質的なデザインはできないからです。

これは一つの例え話ですが、おそらく大企業の社長は電車で移動はしませんよね。でも僕たちは、普段電車で移動する人たちに向けて、何かを作ることのほうが多い。その意味で、経営だけでなく、生活や暮らしを解像度高く理解している必要があるんです。

私たちの組織では、役割を分担するようにしています。大きくいうと、より経営に近い立場で動くチームと、より世の中に近い立場で動くチームという分担です。経営者と生活者、どちらの声も大切だからこそ、この分担は欠かせないものだと思います。 社内の“熱量”を可視化する

続くテーマは「組織の中で個人の熱量をどうやって汲み取るのか」。齋藤は、優れたデザインを生み出すためには、デザイナー個人の“熱量”が欠かせないものだと語る。その考えは、『FOCUSED ISSUES 2024 はじめの一歩から ひろがるデザイン』の提言でも言及されていた。

優れたデザインには必ず「モノのデザイン」と「コトのデザイン」の両面が存在します。デザインが生まれる時、モノもしくはコトに対して誰か一人の熱意から始まることが多く、それがチームや組織を動かし、製品やサービスとなって社会実装されることがあります。しかし、どの組織も一人の能力、コンピテンシーに対してどれだけ注目し、許容し、検討できているのでしょうか? さまざまな活動する組織体の中で、ときに個人のアイデアや意識、熱量から始まる可能性に目を向ける文化をつくることが、今後重要になる。そう考え提言します。

これを受けて、堀切が富士フイルム社内でのある取り組みについて紹介した。

堀切 私たちの組織では、毎年新人のデザイナーに対して、3か月間にわたる新人課題を与えるようにしています。テーマはかなり幅広い設定で、自分の好きなように、自分の考えるデザインを提案するというものです。

何年も続けている取り組みなのですが、おととしはその中から実際に二つ、製品化に至るようなアイデアも出てきました。発表の場に企画部門を呼んでみたら、「これは面白い、マーケットができるかもしれない」と思ってもらえたようで。事業部長にまでアイデアが届き、そこから一気に製品化へと話が進みました。自分がデザインしたプロダクトがユーザーの手元に届くのは、デザイナーたちにとっても何よりのご褒美だと感じられたようです。

この取り組みを経て、私が思っていた以上に「企画段階から関わりたい」というデザイナーが社内にいるとわかってきました。まさに、先ほど話に出た“熱量”を持っているデザイナーたちです。何年も取り組みを継続してきたからこそ、そうした“熱量”の存在が見えてきたんです。

個人の熱量の可視化に加え、それらをいかに周囲へ伝播していくかも、企業で活動するうえでは大事になるだろう。その理由について、臼井氏は「信頼」の重要性について言及した。

臼井 他の部門に対して、デザイン部門のプロセスや取り組み、そして“熱量”を共有していく機会を作るのは、私たちも意識的におこなっていることの一つです。

そうした機会が、他部門が感じている課題を知ることにもつながっていきます。そして新たな課題へ一つひとつ、誠実に応え続けることで、デザイナーへの信頼が社内で生まれていくのです。

その信頼の蓄積が、「あの人が言うならやってみようか」と、デザイナーからのアイデアを受け入れたり、形にしたりするきっかけになっていく。“熱量”を伝え続けていくことが巡り巡って、“熱量”を形にしていくことにもつながるのだと思います。

堀切 個人への信頼に加えて、デザイン部門というチームや組織に対しての信頼も、大切になりますよね。「あの部門に入ってもらうとプロジェクトが面白くなる」と日頃から感じてもらえれば、他の部門から自然と「一緒にやりましょう」と声がかかるようになる。そうなれば、デザイナー自身も自然と「どうすればうまく協働できるか」を考えるようになっていきます。そういう好循環を生み出すためにも、まずは個人が信頼を得ていくことは重要だと感じます。

images05

「自ら説明する機会」がモチベーションにつながる

ここで齋藤は、続くテーマに「社内のモチベーションを保ち続けるための取り組みとは」を提示した。

齋藤は「デザイナーが自ら説明する機会を作ること」こそが、デザイナーのモチベーションを向上させる鍵だと考えを述べる。そのうえで、デザイナーが自らプレゼンを行うこともあるグッドデザイン賞の審査は、その機会の一つになり得るのではないかと話した。

実際、パナソニックや富士フイルムのデザイナーたちはこれまで、同審査でプレゼンを行う機会が何度もあったという。そして臼井と堀切は、齋藤が話すように、自社のデザイナーにとってそれらが貴重な機会になってきたと説明する。

臼井 デザイナーが自ら審査会で説明するのは、すごく大変なことでもあります。ただ、同時にすごく自信になる機会でもあるのは間違いありません。

技術的な背景を知らない相手に製品の特徴を伝えたり、説得したりするためには、入念な準備が必要になる。これは審査会に限らず、たとえば色々な事業部が集まる社内検討会でも同じです。

デザイナーが自分の想いを伝える機会は、モチベーションという意味でもすごく大事なんです。プレゼンを「面白い」と感じた人が、新しいアイデアやテーマを持ってきてくれるかもしれない。それがきっかけで、デザイナーの心の中で、また次のモチベーションが芽生えることもありますからね。

堀切 たしかに、グッドデザイン賞の審査は大変です。でも、やっているデザイナー本人たちは、意外と望んでいるんですよね。「自分たちの考えをしっかり説明したい」という想いは、真剣だからこそ少なくないのだと思います。

同時に「説明責任をきちんと果たせるようになっていく」という意味でも、審査会のような場に挑戦するのは非常に大切です。わかりやすく要点をまとめるのはもちろん、予想外の質問にも対応しなければならない。そのためには、商品知識や技術の深い理解も必要になります。そうした試行錯誤を繰り返すことで、熱量を発信するための「説明力」もぐんと伸びていくはずです。

images06

二人の話を受け、齋藤は「説明できることは、社内で仲間を増やすことにもつながる」と企業内ならではの価値にも触れる。

齋藤 自分がやりたいことを企画して、提案を通して、実現させていく。そのためには、社内で仲間を増やしていくのも重要です。「会社が理解してくれないなら、退職して個人でやっていこう」と考える人もいるかもしれませんが、やっぱり組織でないと取り組めないことも、現実的にはたくさんある。その時、社内の仲間の存在は不可欠です。

2024年度のフォーカス・イシューでは、「はじめの一歩から ひろがるデザイン」をテーマに掲げました。デザイナーが自ら伝える力を磨くことは、まさに「はじめの一歩」を踏み出すためにも不可欠と言えるかもしれません。

「勇気あるチャレンジ」を後押しするために、グッドデザイン賞はどうあるべきか?

トークセッションは終盤へ差し掛かり、テーマは最後となる「企業にとってグッドデザイン賞の役割とは」へと移っていった。

1957年の創設以来、60年以上にわたり続いてきたグッドデザイン賞。年々さまざまな変化を重ねてきたが、企業で活動するデザイナーから見たとき、2025年となった現在はどのような役割を果たすべきと考えるのか?審査委員長を務める齋藤から、臼井と堀切へと問いかけられた。

臼井はここまでに語られた「“はじめの一歩”のために必要なこと」という観点も踏まえながら、グッドデザイン賞への期待を言葉にした。

臼井 企業で複雑な課題に取り組むデザイナーたちが、挑戦し続けるための役割を果たしてほしいです。

グッドデザイン賞は完成された取り組みだけでなく、まだ成長途中の取り組みも評価して、世の中に伝えてくれる仕組みだと感じています。企業内で、社会実装に時間がかかるような、深い課題へ向き合っている人たちが「これでいいんだ」「もっと頑張ろう」と、自信を持つきっかけをくれる。だからこそ、すごく意義があると思うんです。

同時に、最終的なアウトプットや社会的なインパクトだけでなく、プロセスも含めて審査してくれることにも、大きな意味があると感じています。他ではなかなか評価されないことが、グッドデザイン賞では真摯に評価してもらえる。そうして、企業でチャレンジを続けるための力を与えてくれることが、グッドデザイン賞の価値なのではないでしょうか。

堀切 臼井さんも言われたように、最終的なアウトプットだけでなく、プロセスも丁寧に評価していく点こそが、他のデザイン賞にはない良さだと感じていますその一方で、企業の中においてはどうしても、最終的な成果や結果が評価の対象となりやすい。だからこそ、グッドデザイン賞がプロセスにまでしっかり目を向けて評価をしてくれることで、それを糧に企業で活動を続けられるデザイナーも少なくないはずです。

私は審査委員として参加していますが、2023年度に齋藤さんがおっしゃっていた「勇気を評価する」という話が、個人的にはすごく印象に残っています。最終的なアウトプットの背景にある、「チャレンジする勇気」も含めて、評価してくれる存在であり続けてほしいです。

齋藤 グッドデザイン賞は、世の中にある製品やサービスを評価する仕組みです。同時に、企業や個人のチャレンジを後押ししていく仕組みでもありたいと思っています。

そのうえで、評価の視点や深さにこそ、国内外の他の賞とは異なる良さがあると考えています。堀切さんが触れてくださった、2023年度のフォーカス・イシューのテーマ『勇気と有機のあるデザイン』を掲げたのは、まさにそうした考えからでした。

これからも、グッドデザイン賞だからこそできる後押しのかたちを考え続け、試行錯誤していきたいと思っています。

「大変かもしれないけど、思い切ってチャレンジしたい」という芽が、社会の中で一つでも多く生まれ続けることは重要だ。そのためには、チャレンジに踏み切ったこと自体を評価し、支えるための仕組みが、一つでも多く整っている必要があるだろう。でなければ、チャレンジを躊躇する人が増えてしまうかもしれない。その仕組みの一つに、グッドデザイン賞がなり得るのではないだろうか。

images07

栗村智弘

ライター

1997年愛知県生まれ。個人事業主、学生。株式会社インクワイアを経て独立。複数媒体の運営に継続してかかわりながら、スポーツや音楽、ビジネスなどの分野で取材や執筆、撮影も行う。早稲田大学文学部卒。競技歴は野球、バスケットボール、空手、陸上、ハンドボール。2024年4月から再進学。


今井駿介

フォトグラファー

1993年、新潟県南魚沼市生まれ。(株)アマナを経て独立。


小山和之

エディター、ライター