グッドデザイン賞で見つける 今、デザインが向き合うべき 課題とは
グッドデザイン賞の重要な役割の一つに、次なる社会に向けた可能性や課題の発見があります。フォーカス・イシューはこの役割を担うために生まれた、デザインがいま向き合うべき重要な問いを深めることに特化した取り組みです。
フォーカス・イシューでは、審査プロセスを通して探求すべきと考えるテーマを「イシュー」として設定。応募対象を観察しながら、これからの社会における可能性やデザインの役割と意義について思索を重ね、審査後に提言として発表します。

遠心力の時代に、いかに“求心力”を生み出すか──NewsPicksに学ぶ「人を惹き付ける」デザイン
2026年3月、東京ミッドタウン・デザインハブで開催された「フォーカス・イシュー2025 発行記念イベント『デザインの自由と解放』」。その最初のセッションでは、2025年度グッドデザイン賞フォーカス・イシュー・リサーチャーの一人である、林亜季の提言「遠心力の時代に『求心力』をデザインする」を元にしたディスカッションが交わされた。登壇したのは林に加え、NewsPicks Studios代表の金泉俊輔氏、NewsPicks編集長の佐藤留美氏。2013年のサービスリリース以来、「求心力」を持ったコンテンツを発信し続け、日本を代表するニュースメディアへと成長したNewsPicksの取り組みから、強い「遠心力」が働く現代において「求心力」をデザインする方法を探っていく。

モノより、人をつくるほうが難しい。それでもインハウスデザイナーを育て続ける理由──パナソニック 臼井重雄 × 富士フイルム 堀切和久
2026年3月に開催されたグッドデザイン賞フォーカス・イシュー2025の発行記念イベント。セッション6に、パナソニック ホールディングス株式会社執行役員でグループCCOを務める臼井重雄と、富士フイルムホールディングス株式会社執行役員でデザイン戦略室長を務める堀切和久が登壇した。聞き手は、2025年度グッドデザイン賞審査委員長の齋藤精一。この三者での鼎談は、昨年の発行記念イベント以来およそ1年ぶりとなる。前回は「インハウスデザインは元気がない」という課題感も浮上したが、今回の議論はむしろその逆——巨大メーカーのデザイン部門がいかにして「自由」を手にしてきたかを、具体的な製品と組織の変遷から掘り下げていった。

「人」中心の企業はどう生まれるか──野生と土着から考える、「リズム」と自己変容をめぐるデザイン
2026年3月、東京ミッドタウン・デザインハブで開催された「フォーカス・イシュー2025 発行記念イベント『デザインの自由と解放』」。そのセッション3では、2025年度グッドデザイン賞フォーカス・イシュー・リサーチャーの一人である、中村寛の提言「野生のファイナンスで、土着の生活リズムを守る」を元にしたディスカッションが交わされた。中村に加えて登壇したのは、B Corp認証の普及を手がけるB Market Builder Japan共同代表の溝渕由樹。モデレーターはコクヨ株式会社ヨコク研究所/ワークスタイル研究所所長、WORKSIGHT編集長の山下正太郎が務めた。「野生のファイナンスで、土着の生活リズムを守る」から見えるこれからを紐解いていく。

【齋藤精一×中川淳】デザインと経営をどうつなぐ? グッドデザイン賞・新旧審査委員長のまなざし
創設から70回の節目となる、2026年度グッドデザイン賞。3月に新たな審査委員体制が発表され、審査委員長には、中川淳(経営者/コンサルタント | VISION to STRUCTURE代表、PARaDE代表)が就任した。株式会社中川政七商店の元会長であり、ずっとビジネスの世界に身を置いてきた中川が、デザインアワードの審査を率いるのは、歴史的に見ても異例の抜擢と言える。就任にあたり、中川はグッドデザイン賞の「経営者とデザイナーが協働する場」としての側面を強化していきたいと語る。これまでグッドデザイン賞が積み上げてきた価値をどう引き継ぎ、次の時代に合わせてどのようなチャレンジをしていくのか。2023年度から2025年度までの3年間審査委員長を務め、中川にそのバトンを渡した齋藤精一とともに、現在地と未来を語ってもらった。

合意形成は満場一致、1億円弱の資金調達、地域に馴染む佇まい──大日止昴小水力発電所「集落の未来をつくる」デザイン
フォーカス・イシュー・リサーチャーの中村寛は、2025年度の提言として「野生のファイナンスで、土着の生活リズムを守る」を打ち出した。その提言を深める過程で、“フィールドワーク”に向かったのは宮崎県西臼杵郡日之影町にある「大日止昴小水力発電所」。事業主体である大人発電農業協同組合の田中弘道、この発電所の調査設計から事業化まで携わった山下輝和、建屋と周辺環境の設計を手がけた竹林知樹とともに現地を歩きながら、この発電所がいかにして生まれたのか──合意形成のプロセスから、資金調達の仕組みと試行錯誤、地元の風景に溶け込むデザインの背景までを訊いた。

原点回帰を貫いたSigma BFから探る「求心力」のデザイン
フォーカス・イシュー・リサーチャーの林亜季は、2025年度の提言として「遠心力の時代に、『求心力』をデザインする」を打ち出した。その提言を体現する事例として挙げたのは、2025年度グッドデザイン金賞・経済産業大臣賞を受賞したレンズ交換式フルサイズミラーレスカメラ「Sigma BF」である。株式会社シグマ代表取締役社長の山木和人と、国際マーケティング部ブランド戦略課課長の森田帆七との対話を通じて、コンセプトを「やり抜く」ことで生まれた求心力の源泉を探った。

“都心の公園”から広がる、「社会のOSを書き換える」デザイン──山田裕貴 × 太田直樹
フォーカス・イシュー・リサーチャーの太田直樹は2025年度の提言のなかで、「社会のOSを書き換える」をキーワードにあげている。その言葉を体現する事例として着目したのが、千代田区内58の公園を“全体”として構想し直した「千代田区公園基本方針2025+公園リニューアル」だ。その全体設計を担ったのが、景観・土木デザイナーの山田裕貴(株式会社Tetor 代表取締役)だ。100年先を見据えた公園づくりの思想とその手法が全国に“広がる”可能性を探るべく、リニューアルを終えたばかりの千代田区立錦華公園を歩きながら、太田が山田に話を訊いた。

半世紀前から「デザインは経営資本」。デザインと経営の幸福な関係とは?──鳥井信吾 × 林亜季
フォーカス・イシュー・リサーチャーの林亜季は、2025年度の提言として「遠心力の時代に、『求心力』をデザインする」を打ち出した。その提言内容をいっそう深めるべく、対話を打診したのは大阪商工会議所会頭であり、サントリーホールディングス株式会社 代表取締役副会長の鳥井信吾だ。今回は誌面の都合上レポートに載せきれなかったエピソードも含め、対話の様子を全文公開する。

デザインの自由と解放:2025年度フォーカス・イシューレポート公開
2025年度グッドデザイン賞を通して見てきたデザインの"うねり"「デザインの自由と解放」と、社会が向き合うべきと考える6つの提言を公開

銀座に具現化した「余白」のデザイン──Ginza Sony Park Project・永野大輔 ×人類学者・中村寛
グッドデザイン賞の審査を通じて、デザインの新たな可能性を考え、提言する活動「フォーカス・イシュー」。本記事は、2025年度グッドデザイン賞 フォーカス・イシューの発表に先駆け、そのプロセスとして行われた対談を先行公開するものです。