ファイナリスト決定!デザインの今と未来を考える特別賞審査会
2023.09.27
一次審査と二次審査を終え、2023年度のグッドデザイン賞が8月に決定。そのなかからグッドデザイン金賞などの特別賞、そしてグッドデザイン大賞の候補となるファイナリストを決める審査会が9月15日に行われた。2023年を象徴するデザインであり、10年後、20年後を見通した未来につながるデザインを決めるためにどんな議論がなされ、何が評価されたのか。審査を経て見えてきた今年の傾向を探る。
今回、審査をする各特別賞は8月の二次審査会で決定したグッドデザイン・ベスト100のなかから選出されます。また審査委員も、審査委員長・副委員長と各ユニットリーダーのみが集まり、ユニットを超えてすべての受賞対象を審議します。
まずはベスト100に選ばれた受賞対象をさらに深く理解するため「グッドデザイン・ベスト100プレゼンテーション審査」が行われました。
明日を拓く、未来を示唆するデザインのプレゼンテーション
「グッドデザイン・ベスト100プレゼンテーション審査」とは、特別賞審査会の一環として実施される審査です。ベスト100に選ばれた受賞者が自身のデザインについて、オンラインでプレゼンテーションを行います。プレゼン時間は4分、審査委員との質疑応答が2分。海外からのプレゼンテーションは、スタッフによる通訳を交えながら進行しました。
100件の受賞対象は4つのルームに分けられ、1ルームあたり4〜5名の審査委員が担当し、約25件ずつのプレゼンテーションを聞きます。
受賞者のプレゼンテーションでは、アイデアが生み出されたきっかけや、どんな社会を目指しているのかなど、デザインに込めた想いが語られました。質疑応答では、なぜ新しいデザインが実現できているのか、その背景や方法に対する具体的な質問や、審査委員がもつ業界の知見から考えられる課題、またそれをどうやってクリアしているのかなどが問いかけられました。
10年後、20年後へのメッセージとなるデザイン
プレゼンテーションを経て、特別賞の審議が行われます。審議では各ユニットリーダーによる印象に残った受賞対象についての紹介からスタート。国内外で活躍するデザイナー、そして多様な専門家、それぞれの評価視点が共有された上で投票が行われました。
今回決定するグッドデザイン金賞などの各特別賞、そしてファイナリストは2023年度を象徴するデザインであり、グッドデザイン賞が発信する社会へのメッセージでもあります。
モノのデザインとしての側面と、コトのデザインとしての側面、どちらからみても意味があるデザインか、この受賞をきっかけに社会全体の模範となってほしいデザインかどうか、そしてそもそもグッドデザイン賞って何なのか、グッドデザイン賞はどんな未来を示すべきかと、議論は深まっていきました。
また特別賞のなかのグッドフォーカス賞では「防災・復興デザイン」や「新ビジネスデザイン」などの部門があります。2023年に考える「防災とは?」「新ビジネスとは?」と一つひとつの定義から丁寧に話し合われ、今年度のテーマ「アウトカムがあるデザイン」の通りに、目指すべきゴールの方向性からブレイクダウンし、ついに各特別賞は決定しました。
新しい風を応援する、グッドデザイン賞
最後に特別賞審査会を終えた審査委員に今年度のグッドデザイン賞について伺いました。ユニット8 産業/医療、機器設備のリーダーである重野 貴さんは「ハードウェアがメインのユニットでも、つくっているモノの先にある解決したい社会課題が非常に明快になっている対象が多いことが印象的でした」と産業分野のデザインの変化について言及していました。
またユニット16 メディア・コンテンツのリーダー 河瀬 大作さんは「今年は、都市から全国へとひろがるような東京型ではない新しいデザインの生まれ方がある」「大きな企業のデザインだけでなく小さなところから始まる新しい風を応援する賞になっている」と語っており、受賞することで、あらゆるデザインにフォーカスが当てられるグッドデザイン賞の価値を改めて感じました。
受賞発表まであと2週間!
ついに10月5日の受賞発表まであと約2週間となりました!次回は、2023年度グッドデザイン賞の受賞記者発表会についてレポートします。今年度のグッドデザイン賞、ベスト100、そして今回選出された各特別賞とファイナリストが発表されます。お楽しみに!
大橋真紀
編集・執筆
ウェブメディア「.g Good Design Journal」の編集チームのメンバー。外部メンバーとして、コンテンツの企画や編集、執筆を行う。