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グッドデザイン賞で見つける 今、デザインが向き合うべき 課題とは

審査プロセスをとおして 社会におけるこれからのデザインを描く、 グッドデザイン賞の取り組み「フォーカス・イシュー」

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2023年度フォーカス・イシュー

「2023年度フォーカス・イシュー」を考える

勇気と有機のあるデザイン:フォーカス・イシュー テーマ決定

2023.10.05

今年度より、目的・プロセスとも刷新し、新たなスタートを切ったグッドデザイン賞フォーカス・イシュー。「デザインのシンクタンク」というビジョンを掲げ、受賞作の背景にあるデザインの“うねり”を捉え、年度ごと「テーマ」に据える。2023年度、一連の審査プロセスを経て定めたテーマ「勇気と有機のあるデザイン」。この言葉の意図とは。


今年度より、目的・プロセスとも刷新し、新たなスタートを切ったグッドデザイン賞フォーカス・イシュー。

「デザインのシンクタンク」というビジョンを掲げ、受賞作の背景にある“うねり”をより精緻に分析し、社会が向かうべき方向を提案する役割を目指す。その変化の意図と詳細は、こちらの記事にて以前紹介した。

そうした変化を象徴するのが「テーマ」の設定だ。

昨年度まで審査プロセスが始まるまえに、審査対象を見る切り口のように定めていた、テーマ。今年度からは審査対象を横断的に見ていく中で捉えたデザインの“うねり”を言語化しテーマに変換。その年度を象徴する言葉として、社会へと提案する切り口として掲げていく。

意図:勇気と有機のあるデザイン

2023年度も、6月の一次審査を皮切りに数ヶ月にわたる審査が進行。そのプロセスの中で、フォーカス・イシューを担当する、計6名の正副委員長、フォーカス・イシュー・リサーチャーは、通常の審査プロセスとは別に、すべての審査対象を各々の専門性や切り口から見つめ、“うねり”を探ってきた。

その上で幾度もの議論を重ね言語化したのが、表題にも掲げた「勇気と有機のあるデザイン」だ。

審査委員長であり本活動も率いる齋藤精一は、このテーマ設定の意図を次のように語る。

デザインとは未だ存在しないモノを創る役割から、今あるものを更に改善する役割が圧倒的に増えている。「なぜ」、「いま」、「私が」それを創るのか?そんな疑問がつきまとう中、勇気を持ってそれに対峙し、変化が絶えず予測もつかない明日に対応する有機的な思考と体制によって様々なデザインは社会をより良く時に小さな連続で、時に広く大きく変えている。そんなデザインの表と裏をしっかりとフォーカス・イシューで顕在化したい。

参考:テーマに関連する受賞作

本テーマの意図を抽出する上では、数多くの審査対象作・受賞作について議論がなされた。以下では、特に言及された受賞作をいくつかピックアップして紹介する。「勇気と有機のあるデザイン」という言葉をかみ砕く上での参考にしていただきたい。

https://www.g-mark.org/gallery/winners/18596 https://www.g-mark.org/gallery/winners/20423 https://www.g-mark.org/gallery/winners/14653 https://www.g-mark.org/gallery/winners/20409

なお、テーマが抽出された背景については、別途本ジャーナルの記事にて紹介予定。6名が満場一致で「この言葉はいいのではないか」と腹落ちしたプロセスについてもお伝えしたい。

今後は本テーマを元に、各々がアクションプランを含んだ提言をまとめ、レポートへとアウトプットしていく。そのプロセスに関しても引き続き本ジャーナルにて公開を予定している。引き続き、フォーカス・イシューの活動に注目いただきたい。

小山和之

ライター


今井駿介

フォトグラファー

1993年、新潟県南魚沼市生まれ。(株)アマナを経て独立。