2025年度フォーカス・イシュー
デザインの自由と解放
デザインの自由と解放:2025年度フォーカス・イシューレポート公開
2026.02.26
2025年度グッドデザイン賞を通して見てきたデザインの"うねり"「デザインの自由と解放」と、社会が向き合うべきと考える6つの提言を公開
本日、2025年度グッドデザイン賞フォーカス・イシューを総括したレポート『FOCUSED ISSUES 2025 デザインの自由と解放』を公開した。

→ FOCUSED ISSUES 2025 デザインの自由と解放(PDF)
本年度のグッドデザイン賞を俯瞰し見えてきたデザインの"うねり"とその具体例、そして「うねり」を未来へつなげるためのアクションやヒントを約50ページにまとめたものだ。
デザインの「枠」を壊し、意志を持って自由になる
審査を通じてデザインの新たな可能性を考え、提言する活動として、2015年度より展開してきた「フォーカス・イシュー」。
2023年度から齋藤精一審査委員長のもと刷新を図り、今年は新体制での3年目となる。 ここ3年間のグッドデザイン賞が掲げたメッセージを振り返ると、「アウトカムがあるデザイン」(2023年度)で"北極星"を掲げ、「勇気と有機のあるデザイン」(2024年度)、「はじめの一歩から ひろがるデザイン」(2025年度)で、そこへ至るパス(道筋)を探求してきた。
2024年度、2025年度は前年度のフォーカス・イシューのテーマを翌年度のグッドデザイン賞のメッセージに反映させるなど賞全体との連動もより強まった。 そうした中、2025年度のフォーカス・イシューでは『デザインの自由と解放』をテーマに制定した。この言葉には、「デザインを縛るあらゆる『枠』からの解放」と「自らの意志で方向を定め、主体的に選び取る自由」の2つの柱が存在している。

2025年度は昨年度と同様、正副委員長3名からなるフォーカス・イシュー・ディレクターと、各領域の専門家3名からなるフォーカス・イシュー・リサーチャーの計6名体制でスタート。2025年6月の一次審査を皮切りに数ヶ月にわたる審査プロセスの中で思慮を深めてきている。本年度は、外部有識者に加え、今年度の受賞者、過去の大賞受賞者など多様な視点を持つ方々との対話機会も設定。
そこでの示唆をもとに、具体的なアクションを提案するレポートをまとめあげている。
「6つの提言」を、対談・解説・事例とともに立体的に
いまデザインには、そして企業や経済界、あるいは政治や行政には、どのような態度や動きが求められるのか——レポートでは、さまざまなステークホルダーに向けた6つの「提言」をまとめている。

ディレクター/リサーチャーによる、受賞作などを踏まえた提言はもちろんのこと、提言をより深く理解するための解説や参考文献、参考作品、各提言の視点から選んだ受賞作の紹介も掲載している。

また本年度のレポートでは、3本の対談・鼎談を収録。2022年度にグッドデザイン大賞を受賞した「まほうのだがしやチロル堂」のその後を追った鼎談(吉田田タカシ×坂本大祐×太田直樹)では、大賞受賞から3年を経た「意識変容」のデザインの現在地が語られている。
金賞を受賞した「Ginza Sony Park Project」をめぐる対談(永野大輔×中村寛)では、銀座の一等地に「余白」を生み出したプロジェクトの全容が明かされた。
さらに、サントリーホールディングス代表取締役副会長・鳥井信吾氏と林亜季の対談では、半世紀以上前からデザインを経営資本として位置づけてきたサントリーの哲学が掘り下げられている。

「デザインの自由と解放」を歴史からたどる
後半には、デザイン史の研究者・野見山桜氏のセレクトにより、20世紀以降の「自由と解放」にまつわる歴史的事例を年代順に紹介するコーナー「自由と解放のかたちをたどる」を設けた。
「自由と解放」は非常に壮大なテーマ。本企画はその輪郭をつかむ上で、歴史上に存在する多様な事例という具体の断面から理解を深めるものだ。
1910年代のブリキの義足から2020年代のコロナ禍のマスクまで、社会を形づくる営みが既存の枠組みを踏まえながらも、新たな可能性を切り拓いてきた軌跡をたどることができる。

「デザインの自由と解放」を考える場も用意
なお本レポート・提言の内容についてより理解を深めるべく、2026年3月2日には、フォーカス・イシュー2025 発行記念イベント「デザインの自由と解放」の開催も予定している。
イベントでは、フォーカス・イシュー・ディレクター/フォーカス・イシュー・リサーチャーの計6名それぞれの提言を切り口に全6つのトークプログラムを用意。『NewsPicks』『デザインの手前』『WORKSIGHT』『Featured Projects』『Designship』に携わる方々が企画協力・モデレーターを務め、各提言を多角的に深めていく。
● 日時:2026年3月2日(月)13:15〜20:45(入退場自由) ● 会場:インターナショナル・デザイン・リエゾンセンター(東京ミッドタウン・タワー5階 デザインハブ内) ● 参加費:無料(先着順/事前申込制)
本レポート、フォーカス・イシューの活動にご関心をお持ちの方は是非足を運んでみていただけると幸いだ。
→ フォーカス・イシュー2025 発行記念イベント「デザインの自由と解放」イベントページ(Peatix) → FOCUSED ISSUES 2025 デザインの自由と解放(PDF)
小山和之
エディター、ライター
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