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グッドデザイン賞の “今”を届ける

グッドデザイン賞の応募に込めた想い、 グッドデザイン賞の審査に込める想い、 さまざまな想いが交差し、連鎖する

「よいデザイン」を探求する プロセスを届ける

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2023年度グッドデザイン賞 一次審査の結果が決定!

2023.06.27

グッドデザイン賞の一次審査は書類選考。6月19日に開催された「一次審査判定会」では、審査委員が集まり、最初の合否を決めるためのディスカッションが行われた。審査がはじまった途端、どのユニットでも審査委員は立ち上がり、会場は熱気に包まれた。


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多数決だけでは決まらない

一次審査ではまず、審査委員がオンラインで応募対象に投票をします。この投票は、6月1日に開催された「審査委員全体会議」のあと、各ユニットで話し合われた審査の方向性に基づき各自で行われます。

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今回の「一次審査判定会」とは、各自の投票結果を持ち寄り、議論をする日。投票による多数決だけでなく、全員の総意で結果を決めていくのがグッドデザイン賞の一次審査です。

「クロスオーバーした議論」が実現する場所

すべてのユニットがひとつの場所に集まることによって、議論はより広く、深く発展していきます。実際に、審査委員がユニットを超えて相談をする様子や、審査委員長、審査副委員長が話し合いに参加する姿も見られました。

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ユニット16(メディア・コンテンツ)の審査委員が、ユニット01(身につけるもの)のテーブルへ、応募対象の資料を持って向かい、その場で議論する様子。

また、今回から学生インターンシップ・プログラムもスタート。一次審査では、各ユニットに1名ずつ学生インターンが参加。審査の事務的なサポートをしながら、第一線で活躍するデザイナーや専門家が議論する場を体験し、学びを得ていました。

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全国各地のデザイン系大学・専門学校から集まった学生インターン。一次審査ではリーダー1名ずつのみの参加だが、二次審査では約100名の学生が加わる。

デザインの業界も、また年代も超えて、クロスオーバーした議論が実現する場所で、すべての応募対象を一つひとつ時間をかけて審査する過程を「贅沢な空間である」と語る審査委員もいました。

世界のデザインアワードには、オンラインだけで完結する審査もあるなかで、「このデザインはなぜ良いのか」「社会にどんな影響があるのか」と、対面で議論を積み重ねるこの時間が、グッドデザイン賞の大きな価値といえるのではないでしょうか。

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審査への新しい目線

今回は、新審査委員の方3名に、はじめての審査を終えての感想を伺いました。

ユニット01 身につけるもの 本多 沙映(デザイナー・ジュエリーアーティスト / 武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科 非常勤講師) みんなよい意味で探り探りなんだと実感しました。機能性の新しさだけではなく、企業の背景やサステナブルであることなど、さまざまな軸で「よいデザイン」があるので、どう評価していくかが議論になりました。

ユニット05 生活家電 北川 大輔(プロダクトデザイナー / 株式会社DESIGN FOR INDUSTRY 代表取締役) 当たり前ではありますが、応募対象一つひとつと真摯に向き合っていることが印象的でした。 社会が目まぐるしく変わる昨今、人やモノとのコミュニケーションの在り方が変わり、価値観もますます多様性を伴いながら変化していると感じています。 生活家電とは人の暮らしを豊かにするものだと考えているので、暮らしに「新たな豊かさ」をもたらしているか、がひとつの価値になると思います。

ユニット16 メディア・コンテンツ 野崎 亙(プロジェクトディレクター / 株式会社スマイルズ 取締役社長 兼 CCO) 審査をするなかで論理的に積み上げることの大切さと同時に、その論理すら突破することも重要な役割と感じています。人が生まれながらに持っている感覚や、人々の想像力の範疇を超えてくる「なんかいいよね!」というパワーがあるデザインを見つけていきたいです。

一次審査の結果発表は、6月27日

一次審査の結果は本日、6月27日に各応募者へ通知されます。一次審査通過者は二次審査情報の登録、そして幕張メッセでの二次審査会の準備がはじまります。

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二次審査会では、会場にすべての対象を集め、実際に見たり触ったりしながら審査を行います。詳しいスケジュールや、これからの手順は、グッドデザイン賞公式サイトをご確認ください。

次回は、現在応募受付中の「2023年度グッドデザイン・ニューホープ賞」について詳しく解説します。お楽しみに!

大橋真紀

編集・執筆

ウェブメディア「.g Good Design Journal」の編集チームのメンバー。外部メンバーとして、コンテンツの企画や編集、執筆を行う。