今回のお訪ね先
エヌエヌ生命保険株式会社
社会に見過ごされた存在に光を当てる
2025.01.10 【PR】
日本では企業数の99.7%、就業人口の70%を占めるのが中小企業です。その事業承継は社会課題でありながら、これまで予期せず経営を引き継ぐケースの困難は見過ごされてきました。中小企業を顧客とする法人保険のエヌエヌ生命保険は、突然経営を引き継ぐ女性を支援するサービスを3つの柱で展開しています。ユーザー視点のデザインアプローチが評価され、2024年度のグッドデザイン賞に選ばれました。プロジェクト立ち上げから関わるカスタマーエクスペリエンス部部長の小橋秀司さん、運営に携わるマネージャー林佳寿子さん、森住由衣さん、山中祐里奈さんに、この新しい取り組みについて伺いました。
デザインアプローチで深掘りする
― 本日は、エヌエヌ生命のオフィス内にあるコラボレーションスペース、NN Shibuya Crossroadsに伺っています。このスペースは、中小企業の若手経営者や後継者の方同士で、情報交換や情報発信のための拠点として利用できる場としてオープンされました。今回受賞された「突然経営を引き継ぐ女性を支える取り組み」もそうですが、顧客である中小企業をサポートする、さまざまなサービスを提供していらっしゃいます。
小橋秀司 私たちの会社は中小企業向けの生命保険会社ですが、商品を購入してくださる企業の方との間には、税理士やFP、金融機関などの代理店が介在しています。スーパーに商品を卸しているメーカーのようなもので、いわゆる「BtoBtoB(Business to Business to Business)」といわれるビジネス形態です。
ですからこれまで、会社としてお客様である企業の経営者と直接つながることはありませんでした。しかし近年、エンドユーザーとのつながりがさまざまな業種で重視されるようになり、私たちも顧客を知らなければいけない、もっとつながっていこうと意識するようになったのです。
― 具体的には、どのようなことでしょうか。
小橋 経営者の方が亡くなられた際に保険金をお支払いするのが、私たちの本来の仕事です。ある時、ご請求書類が到着してからお支払いまで4日要していたのを3日に短縮できないかと、大きな投資をして改善していこうとするプランがもちあがりました。
そこで亡くなってからお支払いまでの日数をデータ分析してみたら、亡くなった翌日に保険会社に電話が入っているものの、お客様から書類が届くには、多くのケースで60日以上かかっていることがわかったのです。
私たちのような金融機関は、書類が届いてからお支払い業務が始まるのでそこから考えがちですが、求められているのは手続きの日数を1日短縮することではない。お客様が本当に大変なのは、その前の期間ではないかと初めて気づきました。
「この間に何が起こっているんだ!」「自分たちはお客様のことを何も理解できていなかった」と思い至り、お客様の「ペイン」(直面されている困難)は何なのか、徹底的に知ろうというところから全てが始まっています。
― ユーザー視点に立つ、デザインアプローチですね。
小橋 まったく見えていないところを探りにいくのは、私たちが通常行っている手法では太刀打ちできません。ユーザーが望んでいる体験をどう導いていくか、頭を悩ませました。
私たちの会社はオランダにルーツがあり、オランダで進んでいる「エクスペリエンスデザイン」や「デザインシンキング」といった、ユーザー視点で解決策を考える言葉を前から耳にすることはありました。とはいえ言葉だけというか、それほど身近なものではありませんでした。でもこの時に「そうか、デザインの手法ならば、深掘りできるかもしれない」と気づいたのです。
2年間調査し、丁寧に、丁寧に何十人にもお話を伺うなかで、エクスペリエンスデザインが重要であることを実感したので、2020年にカスタマーエクスペリエンスという部門を新設しました。そこから、どういう新しい価値を提供できるか、いくつかプランを出していったのです。
― 部を創出されましたが、人材を集めてコストもかかる一方、このサービスが直接保険の契約につながるわけではありません。会社を説得するのは大変だったのではないですか?
小橋 おっしゃる通りで、保険の営業担当ではなく、企業としてお客様に寄り添うことになりますが、それはこれまでにないサービスなのです。会社として投資するに見合う事業なのか、理解を得るのはたやすいことではありませんでした。その時に、デザインの発想を用いたのが、説得力をもたらしたと思います。マネタイズとしては、すぐに結果として結びつくわけではありません。経営層には日々、成果を問われますが、数字ではない価値があると、今でも粘り強く説明しているんです。
記憶をなくすほど過酷な日々
― そして実際に、経営者を亡くす経験をした当事者にインタビューされたのですね。
小橋 一対一でお話を聞かせていただきました。「お辛いことを思い出させてしまいますが、あの時私たちに何かできることがあったのではないかと、会社として考えています。ご賛同いただけるならば、お時間をいただけませんか」と、お伝えしました。
経営者が亡くなられた当日、どう連絡を受け、どこに連絡したのかに始まり、その後1年ほどで何が起き、どう対処し、どんな困難があったか、こと細かにお話を伺いました。そしてその後のデータ検証を通じわかったことが、代表者死亡時の親族内承継において、事業を引き継ぐのは、半数以上が女性であるという事実でした。
― 意外ですね。後継者として学んできた息子さんが継がれるケースをつい想像しがちです。
小橋 はい。ですからこのサービスは、最初から「女性経営者を支援しよう」という発想から始まったわけではないんです。あくまでも実際の当事者の多くが「経営者の妻」であり、見えていなかった共通した困難や悩みがあり、それが非常に大きく深いという事実がわかったからなのです。
― 経営に関して、白紙の状態で事業を引き継ぐ方も多いでしょう。ご家族を亡くし、ただでさえ辛いのに、経営者としての判断を迫られ、責任も負わなければならない。重圧はいかばかりかと想像します。
小橋 まさにその通りです。お話を伺った方々は、皆さん最初の1年間の記憶がないと言われました。
林佳寿子 私がお会いした方も、10年経っても思い出したくないとか、日記を読み返しても思い出せないという方がいらっしゃいました。
小橋 なかには、「息子に継がせる前になんとか私が立て直さないと」という方や、「会社に幕を引く役目は私しか果たせない」という方もいらっしゃいます。経営の実務がわからないことに加え、悩みを誰に相談したらいいかわからない、誰にも打ち明けられない孤独感や、心理的な負担が大きいのです。
小さなお子さんを抱えていたりすると、経営者同士の勉強会や親睦会には参加しづらいとか、周囲は男性経営者ばかりで同じ立場の仲間がいないとか、挙げるときりがないほど、女性承継者ならではの困難がありました。
ところが、そうした方々に向けた情報はほとんどなく、支える体制もない。それならば私たちが会社として向き合い、支えていこうと決断したのです。
3つのウェブサイトで支援する
― 日本の社会が抱えるジェンダーギャップが背景にありますね。大きな社会課題に対する最初の一歩として立ち上げたサービスが、コミュニケーションサイトの「女性社長のココトモひろば」でした。
小橋 女性社長.net(コラボラボ)代表の横田響子さんと協業でつくりあげました。横田さんの本を読んで感銘を受けてお声がけしたところ、私たちの試みに共感してくださったのです。そこで、「女性社長のココトモひろば」を2020年1月にスタートしました。夫や家族が亡くなり突然社長になった女性を対象としたウェブコミュニティで、現在150名ほどの登録者がいらっしゃいます。同じ立場の方の体験談を読んで救われたり、継いだばかりの方がベテラン経営者の方に悩みを相談できたり、ただただ辛い思いを吐き出すために書き込んでもいい、という場です。
― 同じ境遇だから話せるし、登録制なので安心できる場になっていますね。他の2つのサービスはどのようにして生まれたのでしょうか。
小橋 リサーチをするなかで、日本の抱える社会課題として、女性の後継者の困難を全国的に認知させていかなければならないと痛感するようになっていました。まずは女性の事業承継そのものを支えたいと、これも横田さんと協業で「女性のための事業承継ステーション」を立ち上げました。女性の事業承継を支える団体を集約する取り組みです。
また、事業を承継する前に、こういう情報を知っていればよかったという声や、問い合わせも増えていました。そこで、将来、事業承継される可能性がある方に必要となる情報をお届けする場として、「経営者の妻のための情報サイト つぐのわ」をつくりました。
― それらは当初の調査だけでなく、継続されたリサーチから得たコンテンツなのですか?
小橋 サービスの開発時点から、お客様と一緒につくり、運用がスタートしてからも定期的に面談などの機会でご意見をいただきながらつくり上げた、当事者の声から生まれたサービスと言えます。
経験者から学んだ痛みを「ころばぬ先の杖」に
― 「つぐのわ」は潜在的なユーザーに目を向けていますね。
小橋 日本では中小企業数は100万社以上あり、経営者の9割以上が男性です。それだけに、夫を突然亡くした妻が後継者になる可能性も高いのです。まさかの事態は起きないに越したことはない。でも万一の時のために、今だからこそあなたにできることがありますよ、ちょっと意識してみませんか、とお伝えすることに大きな意味があると思っています。
「つぐのわ」のサービスには、「ココトモひろば」や「事業承継ステーション」の活動で集積された知見が生かされていて、ご登録いただくと、承継の際に役立つマニュアルをダウンロードすることができます。
林 「つぐのわ」を始めて1年程経った頃に、思い切って、利用者にご意見を聞いてみようということになりました。ご登録者には毎月1〜2回ほどメールを届けているのですが、「メールを受け取るたびに、万一のことを考えるのは大事だから、ちゃんと考えようと思うことができている」と、返してくださった方がいらしたのです。
日々、仕事や家事に追われていても、「つぐのわ」が思い出させてくれる。ご主人に「そろそろ健康診断に行ってね」と声をかけてみようと思った、との声もありました。利用者にとって、このテーマは毎日向き合うことではないんです。ですから毎日サイトを見るわけではないけれど、「つぐのわ」の存在を「お守り」のように思っていてくださるとわかり、うれしかったですし、私たちが次に進むべき方向を教えていただいた気がしました。
山中祐里奈 私は今、そのメール配信を主に担当しているのですが、「つぐのわ」で新しい記事をアップしたことを伝えるご案内メールを送ると、記事を見てくださる方が増えるのです。その反応一つとっても、この場を大切にしてくださっている、求めてくださっているのを感じます。
当事者の本音を発信し、社会に訴えかける
― 「経営者の妻」が抱えるさまざまな課題には、当事者だけでなく、より多くの人々が関心を寄せる必要がありそうです。
小橋 そこが私たちの目指すところです。多くの対象者の方に興味を持っていただけるよう、「つぐのわ」では情報だけでなく多彩なコンテンツを用意しています。「夫が社長」の妻が詠むつぶやき川柳のコンテストや、経営者の夫婦関係に関するアンケート調査などで、それは「つぐのわ」のサイト上だけでなく、プレスリリースや広告としても発信しています。広く一般に「つぐのわ」と中小企業の承継課題を知っていただきたいと思っているんです。
2022年に実施した、全国の男性中小企業経営者と妻の「いい夫婦の日」意識調査では、「あなたと配偶者の心の距離を実際の距離にすると何センチですか」という設問も入れました。回答を平均したら、夫から妻は145.5m、妻から夫は1701.4mと10倍以上の差があったんです。そんな一見遊びのような質問でも、夫婦間にありがちなギャップをリアルに映しています。
小橋 夫婦は会話があるようで、大事なことは話せなかったりするものです。相手はわかっていてくれるだろうと思い込むけれど、全然伝わっていなかったりします。とりわけ中小企業経営者ご夫妻の場合、夫婦間のギャップを解消しておいた方が絶対にいい。経営されている会社そのものの将来を左右する問題になりますから。
2024年11月には「デジタル終活」についての意識調査を行い、「配偶者に見られたくないデジタルデータがあるか」「配偶者に秘密があるか」といった設問を入れ、デジタル終活のノウハウをリリースで公表しました。こうしたリアルな情報を発信することも大切にしています。
森住由衣 「『夫が社長』妻のつぶやき川柳」では、経営者の妻の方々がご自身を「雑用係」や「何でも屋さん」と、やや自虐的に詠む川柳が寄せられました。私がこのプロジェクトに長く関わってきた中でも、そのことはかなり強く印象に残っています。世間からは社長夫人というキラキラしたイメージで見られがちですが、実際はそうでなくそこにある孤独を感じられる一因があるのではないかと感じました。
山中 その川柳を使わせていただいた広告は、利用者以外からも多くの共感を得られたのです。それをきっかけにご利用になった方もいらっしゃり、当事者の実情を汲んだ、共感度の高い発信が求められているのを感じました。
― 「経営者の妻」はこれまで見えない存在になっていたため、世間が勝手にイメージするものとのギャップに悩んだり、疎外感を感じてしまうのですね。
小橋 「つぐのわ」で利用者の方が、「私を見つけてくれてありがとう」と語ってくださったことがあります。それは、大きな励みになりました。会社として「経営者の妻」という属性の方々をこれからも支えていきたい、決断してよかったと報われる瞬間でした。
女性を後継者候補にできない社会課題
― 「女性のための事業承継ステーション」では、どのような支援をされているのでしょうか?
林 これは、全国各地にある民間および公的な「事業承継支援団体」、つまり承継の支え手同士をつなぐネットワークなんです。中小企業庁や地方自治体の商工課、事業承継に詳しい研究者も交えた官民学と当事者が参加するイベントや、支援団体との情報交換会なども開催しています。
公的機関には事業承継・引継ぎ支援センターがありますが、ある地方のセンター長によると中小企業経営者の男性のほとんどが、息子さんに継いでもらうことしか考えていなかったそうです。配偶者や娘さんが継ぐことは念頭にないという。日本の文化がそう思わせているのかもしれませんが……。
小橋 その方は、事業承継ステーションのイベントに参加されたのをきっかけに、 女性の後継者という選択肢もあると気づかれたそうです。地元では後継者不足が課題だけれど、女性が選択肢に入れば、単純に後継者候補は倍増するじゃないか、と。センターの相談窓口にも女性担当者を置いて、女性相談者が話しやすい環境を整えようともされています。
承継支援に長く携わる方でも、女性の事業承継に日本特有の問題があることにそもそも気づけず、問題が顕在化しなかった現実がある。そういう点で、施策と課題のズレを解消できるように、まだまだ届いていない女性当事者の事例を広く共有する必要性を感じますし、そこに私たちのできることがあるようにも思っています。
中小企業の支え手として
― 今後はどういった展開を考えていらっしゃいますか。
小橋 現在あるサービスを強化したり、できることを増やしたりというよりは、サービスそのものをさらに知っていただくこと、そして継続していくことが優先課題でしょうか。 こうした取り組みは、継続していくということ自体がすごく重要だと思っています。そのためには、続けていくための仕組みを作り切るのが目標です。
― このサービスを必要とされている方が大勢いらっしゃることは明らかです。
林 創設当時からカスタマーエクスペリエンス部として、新しく何か始める時はカスタマーの皆様と一緒に進めることを貫いてきたつもりですが、これからも答えは全てカスタマーが持っていると考えています。
― 2024年度のグッドデザイン賞のテーマが「勇気と有機のあるデザイン」でした。今回の受賞は、よりよい社会を創造しようと、アイデアを社会に実装していく姿勢が評価されたのだと思います。この取り組みは、すぐ答えが出たり、ビジネスにすぐ効果を及ぼしたりするサービスではありません。それでも取り組みを続ける決断をされたこと自体、一つの大きな勇気だと言えますね。
小橋 ありがとうございます。実際のところ、このプロジェクトを進めるにあたっては、社内にもさまざまな意見がありましたし、決して平坦な道のりではなかったです。
しかし私たちの会社が「中小企業サポーター」を謳っている以上、生命保険会社として中小企業を支えるとは何なのかを突き詰めていくと、それは経営者の方が亡くなられた時に支えとなることではないか、そこでこそ価値を発揮できるはずだというのは当然の帰結です。そして、そこに女性承継者が直面する大きな苦悩や困難があると私たちが気づけたからこそ、その点に注力しなくてはならないと思うのです。
このサービスに共感し、必要としてくださる当事者の方の声を共有することで、この取り組みの重要性がはっきりイメージでき、その結果、社内で賛同も得られたと思っています。プロジェクトのメンバーだけでなく、社内外でこのサービスに協力してくれる人たちと思いが共有できていることが大きいですし、その強い思いはどこから生まれたかといえば、やはり当事者であるユーザーの方々お一人おひとりと、「出会えた」ことから生まれています。
私自身、これまでで何百人という当事者の方々にお話を聞いたことが、活動を続ける大きな支えであり、必要とされているという実感が自信を持たせてくれました。今回の受賞は、サービスご利用者の方や、関係者の皆さんも喜んでくださっていますし、サービスへの信頼度、注目度も上がりました。
林 私たちのこれからの活動の後押しになりますし、続けていく勇気をまたいただいたと思っています。
― 事業承継という社会課題の中に、女性の事業承継という特殊かつ重要な領域があることを社会全体が認知することで、個々の中小企業の存続だけでなく、地域を支えることにもなり、ひいては日本全体を底上げすることにもつながっていくのではないでしょうか。そのための継続的な活動を期待しています。本日はありがとうございました。
各サービスの公式サイトはこちら。 女性社長のココトモひろば: https://kokotomohiroba.com/ 経営者の妻のための情報サイト つぐのわ: https://www.nnlife.co.jp/wife-succession 事業承継ステーション: https://joseishacho.net/jigyoshokei-station/
女性社長のココトモひろば・経営者の妻のための情報サイト つぐのわ・事業承継ステーション
エヌエヌ生命保険株式会社
予期せず経営を引き継ぐ女性を支援する取り組みで、「女性社長のココトモひろば」「経営者の妻のための情報サイト つぐのわ」「女性のための事業承継ステーション」という3つのウェブサイト・取り組みで情報公開と交流を試みたり、夫の他界などで意図せぬ承継の準備を助け、同じ境遇の人々とつながるコミュニティサイトを用意している。社会課題に挑む活動でもある。
- 受賞詳細
- 2024年度 グッドデザイン賞 突然経営を引き継ぐ女性を支える取り組み「女性社長のココトモひろば・経営者の妻のための情報サイト つぐのわ・事業承継ステーション」 https://www.g-mark.org/gallery/winners/21901
- プロデューサー
- カスタマーエクスペリエンス部 小橋秀司+株式会社コラボラボ 横田響子
- ディレクター
- カスタマーエクスペリエンス部 林佳寿子+株式会社コラボラボ 神菊真子+北村大宰
- デザイナー
- カスタマーエクスペリエンス部 森住由衣、山中祐里奈+りんかく株式会社 唐松奈津子
- この記事はエヌエヌ生命保険株式会社とGood Design Journalの企画広告です。
石黒知子
エディター、ライター
『AXIS』編集部を経て、フリーランスとして活動。デザイン、生活文化を中心に執筆、編集、企画を行う。主な書籍編集にLIXIL BOOKLETシリーズ(LIXIL出版)、雑誌編集に『おいしさの科学』(NTS出版)などがある。
成合明子
ライター
会社員、工芸ギャラリースタッフなどを経た後、ライターとして活動。雑誌、単行本等でライティング、編集に携わる。
竹村晃一
写真家
専門学校でデザインを学ぶなかで写真と出会う。そのまま写真にのめり込み美大へ進学。上京を機に撮影スタジオに就職した後は、主にファッションの撮影やアート作品のアーカイブなどをしつつ、さまざまな表現や領域の隙間からの撮影を試みている。
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