「デザインって何だろう?」 小さなハテナから ひろがる世界を覗いてみよう
日々の暮らしや、社会に潜む あらゆるモノ、人、出来事を すこし立ち止まって眺めたり、考えたり…
素朴なギモンから「デザイン」を 知って、感じて、近づくための実験室

今回のテーマ
私の選んだ一品 2024
研究者が選んだグッドなデザイン
2025.03.07
グッドデザイン賞の恒例企画「私の選んだ一品」。審査委員がそれぞれの専門分野を離れ、個人的なお気に入りや注目した受賞デザインを選びます。今回は、デザイン、情報学、予防医学などの研究分野で活躍する2024年度の審査委員 4名が選んだデザインと、そのコメントをご紹介します。
Kulthida Teachavorasinskunさんが選んだ一品は?
ハンガー「カードボードハンガー」 大国段ボール工業株式会社 / 株式会社アルサ
https://www.g-mark.org/gallery/winners/21109Kulthida Teachavorasinskun(クルティダ・ティーチャヴォラシンスクン)さんのコメント: 環境に優しく実用的なモノマテリアル・アプローチを採用した、巧みで持続可能なデザインで印象的だ。様々な衣類の種類に対応する形状とパーツによる適応性が高く、複数のハンガーの必要性を減らした。完全にリサイクル可能で、廃棄物ゼロを保証し、ライフサイクルアセスメントの原則に沿っていて、生産から廃棄まで環境への影響を最小限に抑える。実用性を維持しながら持続可能性へのコミットメントを示すものであり、日常製品やサービス業界の関係者にとって、思慮深いデザインのお手本となる。
村上 存さんが選んだ一品は?
廃棄物分別特化AIエンジン「Raptor VISION」 株式会社PFU
https://www.g-mark.org/gallery/winners/26828村上 存さんのコメント: 大学の講義で、混在する飲料容器の段階的分別を、「まず磁気で鉄を分類、次に渦電流でアルミとガラス、PETを分類、最後に風力でガラスとPETを分類」などと教えている。この製品の技術が進化すれば、より多様な廃棄物を、より簡単に、より細かく分別できるようになるだろう。それを教える講義は、より面白くなるはずだ。
ドミニク・チェンさんが選んだ一品は?
スマートフォンアプリ「みみみ」 株式会社中国新聞社 / フェンリル株式会社
https://www.g-mark.org/gallery/winners/26906ドミニク・チェンさんのコメント: 各種SNSでデマ・フェイクニュースが蔓延するなか、あらためてプロのジャーナリズムの価値が増大しているように思います。「みみみ」は優れたビジュアルと要約の動線設計によって、SNSのインスタントなタイパ的感覚が体に浸透した現代人にも効果的に訴求するデザインを実現していると感じました。
石川 善樹さんが選んだ一品は?
クランプオン式超音波流量計「UC-1」 東京計器株式会社 / 株式会社オーバル / 株式会社 CMF Design Lab
https://www.g-mark.org/gallery/winners/22292石川 善樹さんのコメント: 持続可能なインフラ整備に不可欠なのが、流量計測になります。本製品は会社の枠を超えたコラボレーションのもと、徹底して顧客の声に向き合い、様々な現場の課題を一気に乗り越えるべく丁寧にデザインされている点が高く評価されました。ぜひ多くの方に本製品はもちろん、そのデザインプロセスについても注目いただきたいです。
私の選んだ一品について
今回は、日常で使用するものから産業や公共機器のデザインまで、研究者ならではの視点で紹介しました。これらのデザインが持つ持続可能性や創造性、そしてこれからの社会への影響をより感じられたのではないでしょうか。
今回ご紹介した以外の「私の選んだ一品 2024」は、こちらよりすべてご覧いただけます。
「プライベートな生活や趣味のパートナーとしてのデザイン」「活動や産業を支える縁の下の力持ち」「家族や地域、こころざしを同じくする人たちを後押しするデザイン」の3つのカテゴリに分けてすべての「一品」を掲載しています。ぜひご覧ください。
Journal編集部
編集・執筆
ウェブメディア「.g Good Design Journal」の編集チーム。デザインの新しい可能性を探るため、グッドデザイン賞の運営事務局と、外部メンバーが共同で企画・運営をおこなっている。
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