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今回のテーマ

アイデアのハテナ

ジーンズはなぜブルー?

2025.01.07

みんなが知っている“あのデザイン”の背景にある、?(ハテナ)を解き明かします。今回は、ジーンズの「リーバイス® 501®」について。150年以上愛され続けるジーンズのはじまりについて聞きました。


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*グッドデザイン・ロングライフデザイン賞受賞時(2019年)の画像です。

移り変わりの激しいファッションの世界で、変わらない人気を誇る「ジーンズ」が生まれたのは約150年前。その生みの親は、ジーンズブランド「Levi's®」の創業者、リーバイ・ストラウス氏です。

1853年、ゴールドラッシュで賑わうサンフランシスコにドイツから移民として渡ったストラウス氏は、雑貨商を営むなかで、金鉱で働く人々の声を聞き、丈夫なワークパンツを開発しました。

さらに、破れやすいポケットや股の部分を金属製のパーツ(リベット)で補強し、パンツの耐久性を高めるという仕立屋ヤコブ・デイビス氏のアイデアを取り入れ、両者で特許を取得。こうしてジーンズが誕生しました。

誕生当初から、ジーンズの象徴である「インディゴ・ブルー」が採用されています。なぜこの色が選ばれたのでしょうか?また、150年前に生まれたデザインが今も愛され続ける理由とは?今回はリーバイスのヒストリアンであるトレイシー・パネクさんと、チーフプロダクトオフィサーのカリン・ヒルマンさんにお答えいただきました。

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ヒストリアンのトレイシー・パネクさん(左)とチーフプロダクトオフィサーのカリン・ヒルマンさん

ジーンズの色は、なぜブルーに?

Tracey Panek, Levi Strauss & Co. Historian and Archives Director:

When Levi Strauss & Co. first manufactured riveted denim pants in 1873, they selected blue denim since it had been a traditional workwear fabric. It was tough, hard-wearing and the dark blue color hid stains and dirt. The blue denim could also be sourced in large quantities from mills like the Amoskeag Manufacturing Company in Manchester, New England.

Also, indigo dyed denim was widely available originally as a plant dye and later as a synthetic. The Levi Strauss & Co. Archives has examples of both kinds of indigo blue denim jeans. The term “blue collar” workers is a reference to the blue denim workwear these early workers dressed in.

リーバイ・ストラウス社ヒストリアンおよびアーカイブディレクター、トレイシー・パネク:

最初にリベットデニムパンツを製造した 1873 年、リーバイ・ストラウス社は、昔ながらの作業着の生地であった、ブルーデニムを選びました。頑丈で耐久性がある上、濃いブルーはシミや汚れを隠しました。ブルーデニムはまた、ニューイングランドのマンチェスターにあるアモスケイグ製造会社などの工場から、大量に調達することができました。

さらに、インディゴ染めのデニムは、当初は植物染料、その後合成染料を使って広く流通していました。リーバイ・ストラウス社のアーカイブには、両方のインディゴ・ブルーのデニムジーンズのサンプルがあります。「ブルーカラー」労働者という言葉は、当時の労働者が着ていた、ブルーデニムの作業服からきています。

デザインが長く続いている秘訣は?

Karyn Hillman, Levi’s® Chief Product Officer:

The 501® has evolved and adapted over the last 150 years. Since it’s invention in 1873, the 501® has changed in its design, and in its end use, probably upwards of thirty times in its lifetime…it has transcended from being a utilitarian working overall, to a fashion item and ultimately to an everyday uniform adopted by fans in every corner of the cultural landscape, across multiple generations. The design of the 501® has gradually changed over the years while never straying too far from the core tenants. From the denim getting heavier, to the fit getting slimmer, to design detail changes like adding beltloops, to adding a 5th pocket, to hidden rivets on the back pockets, to tweaking the size and shape of the back pockets, the 501® design is always moving forward, adapting and innovating with the times.

リーバイス®チーフプロダクトオフィサー、カリン・ヒルマン:

501®は、過去 150 年間にわたり、進化・順応してきました。1873 年の発明以来、501®は、デザインや最終用途において、これまでおそらく 30 回以上変化を遂げています。実用的な作業用オーバーオールから、ファッションアイテムへ、そして究極的に、多くの世代、さまざまな文化において、ファンの日常的なユニフォームへと進化しています。501®のデザインは、基本の形からかけ離れることなく、長年にわたり少しずつ変化してきました。厚手のデニムのほか、細身のフィット、ベルトループの追加などの細かいデザインの変更、第 5 ポケットの追加、バックポケットの隠しリベット、バックポケットのサイズや形状のマイナーチェンジなど、501®のデザインは常に時代とともに前進し、順応し、革新しています。

150年の時を超えたデザインの魅力、その歴史を知ることで、日常の一着がより特別に感じられるのではないでしょうか。「アイデアのハテナ」では、ひろく親しまれ、長く愛され続けるデザインの普遍性を探求していきます。

ご協力・出典:リーバイ・ストラウス ジャパン株式会社 https://www.levi.jp/home LEVI'S®の歴史 https://www.levi.jp/levis-history.html

Journal編集部

編集・執筆

ウェブメディア「.g Good Design Journal」の編集チーム。デザインの新しい可能性を探るため、グッドデザイン賞の運営事務局と、外部メンバーが共同で企画・運営をおこなっている。

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