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2025年度グッドデザイン賞 大賞を含む特別賞が決定!受賞発表は10月15日

2025.09.26

数千点以上ある応募の中からグッドデザイン賞の特別賞を決める「特別賞審査会」が9月19日に行われました。審査会では、グッドデザイン・ベスト100に選ばれた受賞者がプレゼンテーションを行い、その後、審査委員による活発な議論と慎重な審査を経て、大賞と金賞を含む特別賞が決定しました!今回は、受賞発表を間近に控えた重要な審査会の議論の様子をご紹介します。


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今年度は、金賞=各カテゴリーのトップ

4月から始まった2025年度のグッドデザイン賞もいよいよ最終段階に突入しています。

8月6日から8日に行われた幕張メッセでの二次審査会にて、受賞対象の中から特に優れた100件に贈られるグッドデザイン・ベスト100が決定。

今回は、ベスト100の中から特別賞である「グッドデザイン大賞」と「グッドデザイン金賞」、「グッドフォーカス賞」を選出する審査となります。

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昨年までグッドデザイン大賞は審査委員と受賞者の投票で決定し、11月の祝賀会の際に「大賞選出会」を合わせて開催し、発表していました。 しかし今年度から「特別賞審査会」においてグッドデザイン大賞を決定。 さらにグッドデザイン金賞は各カテゴリーごとに1件ずつ選出される方式へと変更されました。そしてその選ばれた金賞20件の中から、グッドデザイン大賞が決定します。

この新たな選出方法により、それぞれのカテゴリーに精通した審査委員が、対象分野への深い理解に基づいて評価を行うことができ、より的確で説得力のある選考が実現しています。また、カテゴリーごとにその分野で最も優れた1件が選ばれることで、多様なデザインの魅力と価値が公平に評価されています。

特別賞選出に向けた最終プレゼンテーション

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特別審査会は、ベスト100受賞者によるプレゼンテーションから始まりました。

<グッドデザイン・ベスト100プレゼンテーション審査について> ベスト100受賞者代表1名が、自身の受賞デザインについて、画面共有による投影資料を用いてプレゼンテーションを行います。プレゼン時間は4分+質疑応答 2分の計6分です。 ベスト100プレゼンテーション審査は、審査委員長・副委員長と、各ユニットリーダー(20名)が審査を行います。受賞対象を5つのルームに分け、1ルームあたり4〜5名の審査委員がプレゼンを拝聴します。※応募したユニットの審査委員がプレゼンを聞けるように分けられています。 また、審査委員全員が一部屋に集まりプレゼンテーションを聞く時間も設けられています。

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プレゼンでは限られた時間の中で、映像や資料を効果的に活用し、審査委員に分かりやすく的確に伝えるための工夫が随所に見られました。

プレゼン後の質疑応答では、

・どのような背景で生まれたデザインなのか ・なぜこのような素材を選んだのか、その将来性について ・デザインしていく上で困難だった点、努力した点 ・デザインの独自性、精度の高さについて ・次に目指す形やデザインをさらにより良く発展させるための方向性 ・これからもっと世に広げていくための具体的な方法について

など、受賞対象の「デザインの価値とプロセス」「今後の展開と可能性」について問う場面が多く見られました。

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また、オンラインで行われるプレゼン審査の円滑な進行を確保するため、さまざまなスタッフが配置されていました。海外の受賞者には通訳が同席し、審査委員とのコミュニケーションをサポートするなど、運営の体制が整えられていました。

真剣な議論を尽くし、ついに特別賞が決定!

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朝早くから始まったベスト100受賞者によるプレゼンテーションに続いて、特別賞の審査会がスタート。審査委員全員が納得できる結論を目指し、白熱した議論が夜遅くまで続きました。

<特別賞審査会について> 審査委員長・副委員長と、各ユニットリーダーによるディスカッションで、特別賞を選出します。 まず、ベスト100の中からグッドデザイン金賞20件を決定し、続いてその中からグッドデザイン大賞1件を選出、さらに残る80件の中から4つの部門に分かれたグッドフォーカス賞を、それぞれ最大3件ずつ選出します。

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審査委員はそれぞれが聞いたプレゼン内容を全体で共有。評価の公平性を保ちつつ、他カテゴリーの審査委員も多角的な視点での議論と投票の判断が可能になります。

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休憩時間もユニットを超えて議論が進む。

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議論の中では、受賞対象が属するユニットの審査委員が、専門的な視点からデザインの優れている点を補足説明する場面も。

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審査委員全員に配布されているiPadで投票。ペーパーレスで正確かつ効率的な記録と、即時の集計が実現。

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フォーカス・イシュー・リサーチャー3名もオブザーバーとして参加。受賞者によるプレゼンや審査委員の議論に耳を傾けながら、今年度のデザインに見られる傾向を分析・考察します。

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約10時間にわたる審査の最後に、齋藤委員長は「グッドデザイン賞は、デザインについて全員で、時間をかけてじっくり議論する場」と述べ、「近年ではモノとコトを分けずに捉えることが主流になってきており、デザインの定義が年々広がりを見せている」と語られました。

「だからこそ、私たち審査委員は毎年、変化するデザインの境界線のようなものを自分たちの中で再定義してきたが、今年はそれが例年よりもはっきりと形を持って表れた」と振り返ります。

また、「新しいデザインはもちろん、今年は何度も試行錯誤を重ね、激しい変化を経て今の形にたどり着いた成熟したデザインにも光を当て評価することができた」と語り、「グッドデザイン賞ならではの受賞対象が選ばれ、グッドデザイン賞らしい深い議論を行うこともできた」と、今年度の審査をまとめました。

10月15日 グッドデザイン賞 受賞発表!

受賞発表の時が、いよいよ目前に迫っています!10月15日は、

・グッドデザイン賞 ・グッドデザイン・ベスト100 ・グッドデザイン特別賞(グッドデザイン大賞・グッドデザイン金賞・グッドフォーカス賞)

が発表されます。その後、11月1日より受賞展「GOOD DESIGN EXHIBITION 2025」が開催されます。

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詳しいスケジュールや、受賞後の展開については、グッドデザイン賞公式サイトをご確認ください。

朝倉 千恵子

執筆

書店で働きながら本や映像を制作する。TABF2024に参加。チェルフィッチュ『三月の5日間リクリエーション』や『リビングルームのメタモルフォーシス』に参加するなど俳優としても活動している。

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