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グッドデザイン賞の “今”を届ける

グッドデザイン賞の応募に込めた想い、 グッドデザイン賞の審査に込める想い、 さまざまな想いが交差し、連鎖する

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2025年度 グッドデザイン・ニューホープ賞 最優秀賞決定!

2025.12.25

応募総数668件の中から、115件が受賞した今年度のグッドデザイン・ニューホープ賞。事前審査と一次審査を経て、その中から8件が優秀賞に選ばれました。そして、12月20日に行われた最終プレゼンテーションにて、最優秀賞が発表されました。今年度の最優秀賞は、星を音で聴くプロジェクト「天体音測会」。学生たちの多彩なプレゼンテーションと、年々進化し続けるニューホープ賞についてご紹介します。


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4回目の開催となるニューホープ賞

グッドデザイン・ニューホープ賞は、未来のデザインを切り拓く、若き才能を応援することを目的に、2022年から始まりました。美術・デザイン系だけでなく、多様なジャンルの大学・専門学校の在学生、新卒社会人を対象とし、優れたデザインを評価しています。そして受賞を終着点とせず、受賞者がさらに成長し、社会で活躍できる機会の場を提供することを目指しています。

応募カテゴリーは「物のデザイン」「場のデザイン」「情報のデザイン」「仕組みのデザイン」の4つで、幅広いデザインが対象。審査にはプロダクトデザイナーや建築家、広告デザイナーなど、さまざまな分野の専門家が参加しています。

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2025年度の審査委員

熱気あふれる最終プレゼンテーション

12月20日、優秀賞に選ばれた8件の受賞者による最終プレゼンテーションが行われました。今年度は、個人の原体験を出発点に、今ある社会課題の解決を目指すデザインが多く見られました。

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どのプレゼンターもエネルギーにあふれ、詩を朗読するように語りかける表現や、アニメーション、音楽を取り入れた演出など、アイデアに富んだプレゼンテーションで審査委員の関心を引きつけていました。5分間のプレゼンの中に、デザインのアイデアがぎっしり詰まっており、大きなスライドに映し出される資料や語りからは、入念なリサーチや積み重ねた努力が感じられ、どのデザインにも学生たちの真剣さと純粋さが表れていました。

最終審査会には入選した学生たちも参加しており、真剣な眼差しでメモを取る姿も印象的でした。同世代のプレゼンテーションを見守る会場には、張り詰めた静かな緊張感と、各々の内に秘めた熱気が漂っていました。

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プレゼンテーションの後には、5分間の質疑応答が行われました。デザインの最終的な形や素材を選んだ理由、社会課題に気づいたきっかけなどについて、時間いっぱい活発なやり取りが交わされました。

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最後に行われた審査会は、審査委員のみで進められました。全ての優秀賞の完成度が高く、プレゼンテーションも素晴らしかったため、全員が「どの優秀賞も接戦」と審査は予定時間を延長して議論が続きました。審査委員全員で悩み抜いた末、ついに最優秀賞が決まりました。

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最終審査会の待機中、会場では今年度の入選作を一覧で見ることができる工夫も。これまでのニューホープ賞受賞作がまとめられた冊子も会場に設置されており、今までの歴史を振り返ることもできる。

最優秀賞に輝いた「天体音測会」

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今年度の最優秀賞に選ばれたのは、光害により星が見えにくい都市部でも、星を音で聴く体験ができる「天体音測会」。参加者の宇宙への意識を変える取り組みのデザインです。星の情報を音で表す科学的な仕組みと、人間の認知や感性を組み合わせた設計によって、肉眼では見えない星の存在や特徴を耳から体験的に感じられるのが特徴です。さらに、参加者自身が星の音を探す能動的な動作を通して、新たな天体観測体験を提案しています。

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幼少期に見た満天の星空。この原体験が、宇宙や地球の広大さとその素晴らしさへの関心につながりました。しかし、大学生の時に引っ越してきた東京の空は、都市化や大気汚染の影響で濁り、星はほとんど見えず、街中でも夜空を見上げる人がいない光景に悲しさを覚えました。こうした体験から、星のデータを音に変換することで、宇宙とのつながりを再び感じられないかと考え生まれたのが、「天体音測会」です。

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「天体音測会」では、体験者がヘッドホンを装着し、頭部の向きに応じて見ている星のデータがリアルタイムで音に変換されます。これは、能動的で探索的な観測体験の本質を、聴覚に基づく別の形の体験に落とし込んだ仕組みです。

音の設定は、仙台市天文台との協働や、視覚障害を持つ方との検証を重ねて決定されました。検証の結果、音程で星の温度や色を、音量で明るさを感じられることがわかっています。またこの仕組みのデザインは、都市部でのイベント開催や、星の一生をテーマに音から学ぶという小学校での授業など、実際に社会で実践されています。

審査委員からは、都市部の環境要因で星が見えない時の体験提供はもちろんのこと、視覚障害を持つ方の天体音測体験や、教育ツールとしての展開など、様々な領域への広がりを感じるプロダクトと評価されました。

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2025年度ニューホープ賞の総評として、永山審査副委員長は、「毎年、皆さんのプレゼンテーションを楽しみにしています。作品の完成度はもちろんですが、その背景にある想いやプロセスを知ることが、審査の中で特に心を打たれる部分です。課題をどのように見つけ、どんな姿勢で向き合ってきたのかを知ることで、自分自身も純粋な気持ちでデザインに向き合えているかを振り返るきっかけになる」と語り、審査を通じて大きな刺激を受けていると述べました。

「作品ごとに視点やアプローチ、アウトプットは異なるものの、身近なテーマから着想し、形にするまで諦めずに取り組んできたという根っこの部分は皆さん共通している」と評価し、「その姿勢に誇りを持ってほしい。これからの未来の大事な土台のような自分の幹の部分のようなものであると思う。これを大切に育て、広げていってほしい。」とエールを送りました。

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今年度初めて参加した倉本審査副委員長は、「ニューホープ賞の審査は、明るく楽しい雰囲気に包まれていました。粗い部分を過度に気にせず、自由に未来を描けるからこそ、のびのびとした発想が生まれているように感じます。自身もデザイナーとしてキャリアを積んできたからこそ、見えにくくなっているものがあると、今回のプレゼンテーションを通して改めて気づかされた」と語りました。「問いを立て、みんなに共有して、楽しんだり、問題を解いたり、“みんなごと”にしていくのがデザインの大きな力である。デザイナーが最初に何を思い、何を問いとして立ち上げるのかは、デザインの起点としてとても重要なポイント」と強調し、「8組それぞれに異なる問いと想いがあり、その姿勢はとても清々しかった。新人とは思えないほど完成度の高いプレゼンテーションに驚かされた。学校での指導の確かさも感じ、学びの力強さを実感した」と語りました。

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最後に齋藤審査委員長は「ニューホープ賞には、まだ見えていないからこそ生まれるデザインがある。社会実装を見据えた提案も多く、大きな刺激を受けた」とコメント。今年のグッドデザイン賞のテーマである『はじめの一歩から ひろがるデザイン』についても触れ、「参加者一人ひとりが、“はじめの一歩”をしっかり踏み出していた」と評価しました。また、「我々大人たちや企業は本当に“はじめの一歩”を踏み出せているのか、考え直すきっかけにもなった」と振り返り、デザインはもっと自由であるべきだと考えを述べました。「デザインはルールや慣例に縛られず、解放されてもいい」と語り、ニューホープ賞はデザインの幅と深度を広げるアワードだと締めくくりました。

ひろがる交流と笑顔に満ちた祝賀会

お祝いの温かい空気に包まれ、祝賀会がスタート。

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場のデザインを担当した審査委員、手塚由比さんは「今日はおめでとうございます。最後は票が割れるほどの接戦で、今回、最優秀賞を受賞できなかった方々も、すごくいいところまでいっていたので、みなさん自分のデザインに自信を持ってこれからも深めていってほしい。学生の方々が個人的な体験から問題を発見して社会に実装できそうなところまで発展させているところが素晴らしい。課題解決は自分が本当に心の底から思ったことからスタートすると思う。他人の真似でなく自分が本当に思うことを見つけていく。そしてそれをデザインを用いて社会にどう役立てるか、実現していくかということこそがデザインの力だと思う。みなさんこれからも頑張っていって欲しいです」と激励の言葉を述べました。

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初めて審査に参加し、物のデザインを担当した廣川玉枝さんは「みなさん受賞おめでとうございます。物のデザインは応募総数が多く、時間をかけて皆さんのデザインのコンセプトに触れる中で、斬新なアイデアに度肝を抜かれることが何度もあり、とても刺激的でした。荒削りなアイデアや、すぐに社会で実装できるか分からないものもありますが、そうしたアイデアのタネこそが大切で、大事に育てていくことで未来は明るくなると思います」と語りました。「皆さんのアイデアや資料はしっかりしており、実際の社会を意識した視点も素晴らしかったです。私自身、とてもワクワクするアワードでした。デザインは人と人をつなぐ重要な役割を果たしていると思います。ここで出会える人や機会を大切にしながら、これからも突き進んでほしい」とお祝いの言葉を述べました。

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会場には受賞者や審査委員だけでなく、企業やメディア関係者、歴代のニューホープ賞受賞者など、さまざまな分野の人々が集い、受賞者のみなさんは、質問や意見交換を通して積極的にコミュニケーションをとっていました。

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受付で配布された名札にはQRコードが記載されており、それを読み取ることで自身の受賞作品の情報が表示される仕組みも導入。受賞作品をWebサイトで確認しながら、スムーズに自己紹介ができるように工夫されていた。

実際に参加されていた先輩受賞者は、「自分たちの時は、人間の課題を解決する人間中心のデザインが多かった印象ですが、今年度は地球環境との関わりや移住の話など、人間の新しい可能性を探るものや、これまで関係性が結ばれていなかった新しい対象との関係性を見つけるデザインが多いと、受賞者のみなさんと話して感じました」と語りました。

さらに、「私は元々デザイン専攻ではありませんでしたが、この賞をいただいたことをきっかけにデザインの道に進むようになりました。受賞者向けのプログラムで同世代の仲間と話す中で、デザインの面白さに気づくきっかけとなりました。同じ年に受賞した仲間と今も続けているプロジェクトもあります。波紋が広がるように、このアワードで生まれたつながりに感謝しています」と語りました。

また別の先輩受賞者は、「ニューホープ賞はグッドデザイン賞と比べてエントリーのハードルが低く、挑戦しやすい。デザインを評価してもらうための一歩になった。いつかグッドデザイン賞にも挑戦できたら」と、次の目標について語りました。ニューホープ賞に応募することで制作のモチベーション向上にもつながっているそうです。

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晴れの舞台に立った学生たちは、互いにカメラを向け合って写真を撮り合うなど、和気あいあいとした雰囲気が会場を包み込んでいた。ひとりひとりの顔に浮かぶ喜びと自信に満ちた表情がとても素敵だった。

新しい才能と出会い、育む

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2025年度から次世代のデザイン界を担う若手クリエイターの育成や活動をご支援いただく企業パートナープログラムが開始されました。本プログラムでは、参加企業と受賞者が互いに交流を深めることで、デザインコミュニティ全体の活性化を目指しています。互いに刺激を与え合い、成長を後押しする環境づくりを通じて、新たなアイデアやつながりが生まれることを期待しています。

最終プレゼンテーションと祝賀会に参加された企業の方々は、「どの作品も多様な切り口があり、自分の若い頃とは異なる時代の流れやトレンドを反映した表現になっていた。新しい才能の発見もあった」との声や、「受賞者にデザインのとても良かった点を直接伝えられた。自分も若い頃に同じように評価してもらえて励みになった経験があり、こうした若い人たちを応援する場がこれからも続いてほしいし、自分もサポートしていきたい気持ちがある」と期待を寄せる声がありました。

また、「さまざまなジャンルの中から最優秀賞を選ぶ、非常にレベルの高いアワードだった。ただ作って提出して終わりというものではなく、デザインを社会に出し、実際の反応を踏まえたプレゼンテーションは完成度が高く、とても素晴らしかった」と、学生の取り組みを評価するコメントも寄せられました。

現在、2026年度の企業パートナープログラムのお申し込みを受け付けています。募集の締切は 2月15日です。ご興味のある企業のみなさまは、お気軽にご連絡ください。

お問い合わせ先:newhope_award@g-mark.org

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ニューホープ賞は、才能の発掘にとどまらず、世代を超えた未知のデザインの可能性を示し、人々が出会う場として、年々その重要性を増しています。

これから受賞者向けプログラムとして、受賞後のプロモーションやデザインの現場見学、デザインワークショップの開催を予定しています。

今後の活躍がますます楽しみな学生たちの受賞結果は公式サイトに掲載しています。ぜひご覧ください!

すべての受賞結果はこちら▼ https://newhope.g-mark.org/award2025.html

朝倉千恵子

執筆

書店で働きながら本や映像を制作する。TABF2024に参加。チェルフィッチュ『三月の5日間リクリエーション』や『リビングルームのメタモルフォーシス』に参加するなど俳優としても活動している。

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