グッドデザイン賞 受賞でひろがる景色
2026.1.23
2025年度のグッドデザイン賞も、多様なアイデアと挑戦の物語で彩られました。そして、その物語の先には喜ばしい変化や成長の瞬間がたくさんありました。今回は、受賞者へのアンケートから見えてきたリアルな声をもとに、これから挑戦する人のはじめの一歩をそっと後押しする内容をお届けします。

受賞後に起きた喜びと変化
受賞後のアンケートには、受賞の成果を実感した、想像を超えた喜びの声が数多く並びました。グッドデザイン賞の受賞は、一人ひとりのデザインを見る目を変えるきっかけになったり、受賞前よりチーム全体に前向きな雰囲気を広げ、デザインへのモチベーションを高めたりすることもあります。そんな受賞者の生の声を、そのまま抜粋してご紹介します。
社内で起きた変化
・「社内でデザインに注目が集まった(まだまだ社内でのデザインの地位が低いので)」 ・「社としてリブランディングの取り組みを行ってきましたが、賞という目に見える結果をいただけたこと。」 ・「社内でも受賞作の価値を再確認する事が出来たように感じ、受賞して良かった!と思いました。」 ・「受賞後、社内でCEOからお祝いのメッセージメールがあった。」 ・「制作部門・インハウスデザイナーの社内的な地位向上に繋がっている。」 ・「関係者の顔が明るくなり、社内のあちこちからも話題を振られるようになった。」
「機能的な側面だけでなく 、デザインという観点から改めて深掘りすることで、新鮮な発見があった」という声もあり、社内で新しい視点やアイデアを共有することで、他部署との協力が生まれ、チームの結束力向上にもつながっていました。
自分だけでは解決できないことも他の人々と関わり合いながら一緒に考えることで、アイデアが広がり、デザインはよりよくなっていきます。

社外・ビジネスで起きた変化
・「問い合わせの増加」 ・「通常では取引のできないような大企業との口座を開くことができた。」 ・「社内外からの問い合わせが殺到し、一時期広報部署がパンクしておりました。」 ・「受賞展展示1週間以内に営業活動したことのない企業からECサイト経由で注文をいただけた。」 ・「メディアからの問い合わせを多くいただき、記事掲載やテレビ放送がありました。」 ・「神戸新聞、読売新聞から取材の問い合わせがありました。」 ・「施主からの感謝」 ・「多くの市民に喜んでいただき、シビックプライドの醸成に寄与
グッドデザイン賞の受賞は、想像以上に社会との接点を広げる力を持っています。社会に広がることで多様な人々との出会いが新たに生まれ、そのひとつひとつがデザインの次の挑戦へとつながっていきます。
Gマーク使用による効果
・「顧客からの信用度の向上は大きい。特に自治体など公的機関から仕事を受ける機会が増えた。」 ・「デザインが優れていることを顧客に説明せずとも、Gマークを認識されることで納得して頂ける」 ・「名刺交換の際には信頼していただけることが多くなりました」 ・「やはり、瞬間的な認知速度が違う。」

Gマークは、説明しなくても伝わる評価として機能しています。また、アジアを中心に世界各国で広く認知されており、グローバルな発信にも活用することができます。
SNSやWebサイト、展示会の店頭POPなどでGマークを活用することで、従来より多くの人々から反応を得られ、SNSをフォローしていない層や業界外からの反応もあったということです。
さらに、これまで「専門的でよくわからない会社」と思われることがあった企業も、採用活動にGマークを利用することで、「チャレンジできる会社」として新たに認識され、学生からの関心の高まりを実感しているそうです。

応募までの葛藤と工夫
応募までの道のりは、いつも順風満帆ではありませんでした。アンケートには、書類の作成や社内の承認を得ることなど、はじめの一歩の段階から多くの壁があったという声も寄せられました。
・簡潔な文章に落とし込む難しさ 「短い文章で製品の良さをいかに伝えるかが苦労しました。」
・無形サービスをどう説明するか 「受賞作はカタチのないサービスであるため、それをどう伝えるかということに大変苦戦しました。」
・一般的になじみのない分野を伝える工夫 「販促物の共同配送という、普段注目されることのない分野で審査委員の方にどう理解していただくかを考えるのが大変でした。」
・社内を巻き込みながら進めた苦労 「リブランディングによってロゴや店舗デザインなどを一新するにあたって、社内の考え方や進め方をガイドしていくことには苦労しました。」
・応募に踏み出す際の勇気 「はじめの一歩の孤独さを乗り越えること。」
自分たちのデザインを、どうすれば分かりやすく、より多くの人々に届けられるのか。応募のために社内勉強会を開催する企業も。“自分ごと”から“みんなごと”にしていく応募前の壁は、どのチームにも共通していました。

審査・展示で感じた壁と学び
審査を前に、現場ではさまざまなドラマが起きていました。
・初めての展示での困難 「審査の展示作業が初めてだったので色々反省がありました。」
・展示物トラブルというハプニング 「受賞展の搬入時に誤って試作の不良品を持って行ってしまった。急いで市販品を購入して差し替えました。」
・商品化し社会に届けるまでの苦悩 「形ができてから商品化するまでが大変でした。」
・デザインが生まれた背景やデザインに込めた想いを伝える難しさ 「審査委員に想いを伝えること。」

デザインを他の人に伝えることは、他者の視点に立って俯瞰し、もう一度デザインを見つめ直す体験となりました。審査のプロセスは単に書類や製品を提出して終わりではなく、チームの表現力や本質の追求、デザインの価値をどう翻訳するかといった課題の数々と向き合う時間でもありました。


東京ミッドタウンで行われた受賞展ではユーザーの方々に向けても、製品を知ってもらう機会に。また、2025年度の受賞祝賀会には約3000人が参加し、プレゼンテーションや交流会を通して、数多くの人々がデザインについて語り合う時間となりました。

次なるデザインの担い手へ
応募には時間も手間もかかり、時には孤独を感じることもあります。しかし、アンケートから見えてきたのは、応募そのもののプロセスがチームの意識やモチベーションの向上につながり、自分や会社を取り巻く環境が変わっていくという事実でした。 また、年度ごとに異なる傾向が現れるグッドデザイン賞では、刻々と変化するデザインの最前線に触れることができます。
受賞の有無にかかわらず、応募することで新たな景色が見えてきます。 来年度、このエピソード集にあなたの声が加わるかもしれません。ぜひ、はじめの一歩を踏み出してみませんか。
朝倉千恵子
執筆
書店で働きながら本や映像を制作する。TABF2025に参加。チェルフィッチュ『三月の5日間リクリエーション』や『リビングルームのメタモルフォーシス』に参加するなど俳優としても活動している。
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