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「よいデザイン」がつくられた 現場へ

よいデザイン、優れたデザイン、 未来を拓くデザイン 人々のこころを動かしたアイデアも、 社会を導いたアクションも、 その始まりはいつも小さい

よいデザインが生まれた現場から、 次のデザインへのヒントを探るインタビュー

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今回のお訪ね先

コマツ株式会社/同志社大学

アプリが建築業界の働き方を変える

2025.05.16 【PR】

インテリア・建築業界における働き方を一変させているアプリがあります。壁紙を撮影するだけでそのメーカーと品番を識別できる「かべぴた」です。これまでマンションや建売住宅などに施工された建材は、再び調達しようとしても、仕様書が手元にないとメーカーや品番は特定できず、現場に大量のカタログを持参して照合する地道な人力作業を強いられていました。この長年の課題をDXで解決したのが、インテリア事業を営むコマツ株式会社の小松智さんです。同志社大学の奥田正浩教授の協力のもと「自動テクスチャ識別プログラム」を開発し「かべぴた」アプリをローンチ、2024年度グッドデザイン賞に選出されています。画期的なアプリに秘められた開発プロセス、そして産学連携の成功ポイントを語っていただきました。


「人間がやらなくてもいい仕事」を潰す

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壁紙を撮影するとAIが瞬時に識別、そのメーカーと品番を可能性の高い順に指示してくれるアプリ「かべぴた」。

―「かべぴた」は、これまでは営業担当が重いカタログを何冊も現場に運んで数時間かけて行っていた作業を、わずか数秒で識別できるアプリです。業務の効率化はもとより、属人性による識別精度のばらつきも解消してくれました。小松さんはかねてより、労働環境の改善を目指し、このアプリ開発に着手されたそうですね。

小松 智(コマツ株式会社 代表取締役) 私たちの会社は、内装専門の工事業を行っています。建築業と聞くと多くの方はスーパーゼネコンをイメージするでしょう。そうした大手ではDXは進んでいますが、業界の大半は中小企業で、カミソリで切っていたものがカッターナイフに変わった程度にしか進化していない作業が多数あります。

実はわれわれの業種には「人間がやらなくてもいい」作業がいくつかあり、長年業界の課題となっていました。その一つが壁紙を特定する作業でした。入社して間もない若手が担うことが多く、負担が大きく地味な仕事のため、夢を抱いて入社した若者はくじけてしまうんです。そのため離職率も高く、高齢化も進んでいます。私が入職した30年前は20代の職人がいましたが、今でもその世代がそのまま残って若手と形容されるほどで、現在は20代はほとんどいません。

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「大企業を除くと、この業界ではどんどん人材が減り危機的な状況です。若い人が入りたくなる環境に変えていかないといけない」と、コマツの代表取締役小松智さんは改革に立ち上がった。

小松 今いる人材が効率的に働ける方法と、若い人がこの業種に入りたいと思えるようにしなければいけないのです。重荷になっていた作業を早く潰してあげれば、若い人も定着してくれるのではないかと、働き方の改善案を考え、仕組みを変えようとしたのです。

業界を揺さぶる働き方改革

―現場で壁紙を識別する作業は、かなりの負担となっていたのですね。2024年の2月にアプリをローンチすると、瞬く間に広まったと聞いています。

小松 業界ではすでにみんな使っています。3〜4月は引っ越しの季節なので、これまでは賃貸マンションなどのオーナーから次々に連絡が入り「壁紙が汚れたので、同じ壁紙を選びたいから来てほしい」と、品番特定に行っていたところですが、今ではまったくなくなりました。

オーナーが自分で「かべぴた」を使い、メーカーと品番を特定できるようになり、何番を何メーター貼ってほしいという注文に代わりました。これは内装業だけでなく、問屋や商社の営業担当も担っていた作業なので、その負荷がごそっとなくなった。インテリア業界は当然のこと、不動産屋、リフォーム業など、広範囲に影響が波及しています。

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営業担当が持ち歩くメーカーのカタログ(サンプル帳)の一部。これまでは「子どもが壁に穴をあけたから同じ壁紙を探して」と依頼されると、これを何冊も持参し訪問。家人が生活する横で数時間、壁紙とカタログを見比べながら一致する製品を探し出さなければならなかった。

― 2018年に経済産業省はDXによる経済の活性化と働き方改革を掲げています。小松さんはそれより前から、DXでの働き方改革を目指していたのですか?

小松 最初に改革への企画書を書いたのが、8年前の2017年でした。壁紙のアイデアのほか、ドローンを使った解析方法や、ロボットを使った施工方法など、新しい改善策をいくつも考えました。3Dプリンターで道具をつくったこともあります。ボツになったたくさんの試作品は、会社の片隅に積んであります。

― 業界の働き方改革は、企業単体ではとても手に負えないような大きな課題です。それでも小松さんは、アイデアを突破口に道を切り拓こうとされてきたのですね。

小松 はい。まだまだアイデアは、いっぱいあります。確かに社会課題は、もっと力のある企業や組織が取り組めば解決できるかもしれません。でも、現場に近しい企業こそ、実現性の高いアイデアの宝庫です。むしろ中小企業だから、社長が決めればすぐに動ける、私たちのような末端から改善していく「草の根DX」の方が、即効性があると感じたのです。

とはいえ、会社の予算と自分の私財だけでやっているので、できることには限りがあります。協力者を探して大学や研究機関など、いろいろなところを訪ねました。2回行って2回とも断られたところもあります(笑)。そうして、5年前に同志社大学の奥田正浩教授(理工学部インテリジェント情報工学科知的機構研究室)を訪ねたのです。

最初はできないと思い断っていた

奥田正浩(同志社大学) 私は長年、ディープラーニングや画像認識の研究をやっています。テクスチャ解析は得意分野だったので、お話をいただいた時に興味を持ちました。

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従来のAIの活用の仕方では「自動テクスチャ識別プログラム」には到達できなかっただろうと同志社大学の奥田正浩さんは振り返る。

― この壁紙アプリの開発は、大手メーカーも資金を投じて挑戦していたものの、実現できなかったと聞いています。今回は、なぜ成功したのでしょうか。

小松 奥田先生がいるかいないか(笑)。つまり、技術的な壁です。

奥田 われわれも最初はまったく違う方法で取り組んでいました。画像識別はAIの最も得意な分野ですから快く引き受けたのですが、いざサンプルをいただき実験してみたら、もう全然できないわけです。それで実は一旦、お断りしたのです。

というのも、壁紙には輪郭みたいなものがありません。われわれも人間の顔を見たときに、輪郭や目や鼻の位置関係などを見て、この人の顔だと認識します。一方壁紙は、同じ模様がパターンとしてつながっているだけなので、今までのAIをそのまま適用するだけではうまくいかないんです。

小松 今までのAIで撮影して尋ねても、単に「壁」と返答されるだけです。

奥田 しかもいくつものメーカーがあり、似たようなパターンのこれとあれを識別しなければいけないわけです。サンプルを見たときに頭を抱えてしまい、多分無理だろうと資料はお返ししたのです。

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異なるメーカーによる類似したパターンの壁紙サンプル。素人目では見極められない。

奥田 その後、豊永晴斗君という学生が研究室に加わりました。彼は、このテクスチャ解析をチャレンジしたいと言うので、もう1回、地道にデータをつくり上げるところから試行錯誤していきたいと、小松さんにご連絡しました。そして、ディープラーニングの技術を使ってデータを起こすところを工夫すれば、うまくいくのだというところにたどり着いたのです。

小松 その見分けは非常にハードルが高くて、本当に難しいのです。しかも壁紙は貼って日に焼けたら、褪色してなおのこと見分けられなくなる。でも、奥田先生が開発してくれたプログラムならば、たとえ日に焼けていようが、ばっちり特定できます。現在の精度は95%までになっています。

何十万ものデータに挑み、不可能を可能に

奥田 一番のポイントになったのは、何万・何十万という画像を撮影し、地道にデータを作り上げて、それをAIに学習させたことです。その根本の部分を考えて実行したことで、うまくいったのだと思います。

― その画像撮影にもコツがありそうです。

奥田 そこがまた一つのポイントで、壁紙には凸凹があるので、光の当たり方によって模様が変わって見えてしまうんです。

小松 お客さまの家に貼ってある壁紙を識別したいので、その家が南向きの壁なのか、太陽に照らされているのか、室内の光が白色なのか昼光色なのか、LEDなのか、同じ材料でもそれぞれ条件で変わってしまいます。ですから、条件が変わってもデータがぶれないようにしていかなければなりません。

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アプリの開発チームでは、日々、フィードバックを受けて使用感や精度のブラッシュアップに取り組んでいる。

― つまりさまざまなシーンを想定してたくさんの画像を撮影し、たくさん学ばせる必要があるのですね。

奥田 スマホが変わっても精度は変わるので、スマホを変えたり光源を変えたり、光の角度を変えたりしながら何枚も撮影し、コンピュータの中でまたそれをシミュレーションして画像の枚数を増やすという作業をしました。何十万というデータを学習させるプロセスです。

― 気の遠くなる作業量です。

小松 それはもう間違いない。先生にこの条件でこれだけ撮ってほしいとお願いし、そのまま実行していただいたおかげで、お客さまが今使っている環境でも狂いなく、そのまま識別できるものになったのです。

奥田 ディープラーニングと一言で言ってもチューニング方法やモデルの選択方法など、考慮しなければいけないことが多々あります。撮影方法のノウハウとともに、それらがピタッと合う最適なところを見つけていくために、一つ一つ潰していくような操作なので、結構時間がかかりました。ただ、それを地道にやっていくにつれてどんどんよくなっていき、気付いたときには実用レベルになっていました。

資材調達からUIまで、未経験からの挑戦

― コマツにとっての一番の課題は何でしたか?

小松 データは実物の壁紙から起こしていますが、すべての資材を買い取りしていては、費用がかかりすぎて立ちゆかなくなります。そこで、日本のマンション・アパート、建売住宅の壁紙材料をほぼカバーしている6大メーカーに説明しに行き、協力を仰ぎました。奥田先生からもらった初期型を見せて、これぐらいきっちり精度が出る、ここから先に進めたいので実物を無料で提供してほしいと協力を取り付けたのです。

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社内に集められた6大メーカーの壁紙。これをさまざまな条件の下で撮影する。

― てっきり壁紙の団体から無料で提供されたのかと思っていました。何から何まで、小松さんが奔走し、課題を乗り越えてきたのですね。アプリ開発もこれが初めてだったそうですね。

小松 だからすべてが手探りでした。もちろん制作会社とは連携していましたが、大枠を作ってもらいながら、ここはこう変えたいという要望を伝えつつ、ずっと伴走してくれています。

識別の頭脳は先生の方に作ってもらったので、それを社会に解き放つのは、こちら側がやるべきこと。新たに2名の若手を採用し、開発を任せました。社内で使って検証を繰り返し、ボタンの名前から配置まで、すべてにこだわって改良させていきました。

まさに最後の最後まで、ローンチする直前までUIを追求していましたね。それは今でも継続しています。壁紙の品番を知りたいのは、お年寄りから小さなお子さまがいるご家庭など、幅広いのです。一般の人でも使いやすいUIを目指しました。

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主要6メーカーの新旧あわせて2000種の品番をデータ化。テストを重ねて修正し精度を高めた。

産学連携プロジェクト成功の鍵

― 産学連携の成功プロジェクトとしても注目されています。

奥田 私も30代の頃から20年ほど産学連携プロジェクトをやってきていますが、ここまできれいに目に見えるかたちで着地する事例は、ほとんど記憶にありません。同志社だけでなく他の大学を見ても、このような事例は稀有だと言えます。

― なぜ成功できたのだと思われますか?

奥田 一番はやはり小松さんのアイデアが良かったのだと思います。それと私はテクスチャ解析が専門で興味を持っており、小松さんが求めるニーズとピタッとマッチしたのが大きかった。

小松 われわれもITやメカが好き。先生もここまで専門的に話したら伝わらないけど、ここら辺までかみ砕けばわかるだろうと、対応してくれました。お互い組み合ったところが大きかったと思います。

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「五分五分の可能性でよいのであればチャレンジしたい、と先生に言われた時はうれしかったですね」。スタートでつまずいたプロジェクトは、再び動き出した。

― 双方が歩み寄ろうという気持ちで向き合うということですか?

小松 わかるように伝えることは必要ですが、まずはお互いが持っている情報を理解しようと努力することですね。歩み寄ろうとすることで歩幅が狭くなって、スピードを落とすことがないようにしなければなりません。

奥田 われわれも、開発には小松さんがもっている壁紙のドメイン知識(専門的な知識・知見)を少しずつ吸収しなければ進まないので、お互い様なんですよ。小松さんが持っている知識に何とか追いついていこうと勉強する。それは小松さんも同じで、双方の共通言語を見つけていくことが大事なんですね。

― 産学が成功する一番大事なポイントかもしれません。

小松 そこに尽きると思います。そして、課題が生じたら最初の取り決め通りにはいかなくなることも少なくないので、柔軟に役割分担していくことも必要です。連携プロジェクトは、共に課題を解決したいという思いから始まるわけです。先生側は課題解決に向かうことで、新しい技術や研究が花開いたらおもしろいと考える。われわれも目的を達成してお互いバーンって弾けたらいいね、という思いがありました。

違う方向からスタートしていても、この課題さえ潰せたらっていう目的を共有して役割分担ができれば、相互理解が深まり、産学連携の成功率はもっと高まると思います。

― すばらしい開発でしたが、これはメーカーの品番を教えてくれる無料のサービスです。アプリがそのままコマツの売り上げにつながるわけではありません。どのようなプラスの効果がありましたか?

小松 確かに直接的にはまだ1円も利益は発生していませんが、この働き方改革に共感してくれる人は増えていますし、活動を後押ししたいという声もあります。会社としてのブランド力は強化されたとも感じており、活動域は広がりつつあります。これからどう変化していけるか、わくわくしているところです。

― 最後に、グッドデザイン賞を受賞した感想を教えてください。

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グッドデザイン賞の二次審査会のために作成したパネルを前に、小松さんは「産学連携には可能性がある。中小企業の業務の不便を改善することが、社会を変えるきっかけになるんです」。

小松 それはもう、反響も大きくて、本当にすごいことだと思いました。商品自体の信頼度が上がったと感じます。うちは少ないスタッフで準備したので大変でしたが、名だたる企業も審査の途中で消えていくのを見ながら、応募すること自体が貴重な経験なのだと感じていました。

プレゼンテーションする際は甲子園に参加するようなノリになっていましたね。だからたとえ受賞できなくても、グッドデザイン賞は目指した方がいいと思います。それぐらい、会社にとって貴重な経験になるはずです。

― 常に前を見て、よりよい社会を目指す小松さんならではの視点と感じます。「かべぴた」はメーカー間の垣根を越え、壁紙識別のプロセスを一変させた発明でした。これをニュートラルな立場にある企業が手弁当で開発したことは、まさに奇跡といえます。このようなチャレンジが次のチャレンジの呼び水になることを期待しています。本日はありがとうございました。


【産学連携】壁紙品番AI識別アプリ「かべぴた」

コマツ株式会社/同志社大学理工学部インテリジェント情報工学科知的機構研究室

コマツ株式会社と同志社大学が産学連携で開発した、壁紙の識別ツール。スマートフォンで施工済みの壁紙を撮影すると、AIが数秒で品番やメーカーを識別する。従来の識別に投じていた時間や労力、コストをカットし、働き方を変革した。色や形だけでなく、素材感を識別する高精度な画像識別プログラムを産学連携で開発したことに加え、手軽さと使いやすい操作性が評価された。


受賞詳細
2024年度 グッドデザイン賞 スマートフォンアプリ【産学連携】壁紙品番AI識別アプリ「かべぴた」 https://www.g-mark.org/gallery/winners/24879

プロデューサー
コマツ株式会社 代表取締役 小松智/同志社大学 理工学部 インテリジェント情報工学科 知的機構研究室 教授 奥田正浩

ディレクター
コマツ株式会社 取締役 小松真理

デザイナー
コマツ株式会社 小松智、平野智脩揮、井上皓司/同志社大学 奥田正浩、豊永晴斗、岩垂大知、青木隆史

 
この記事はコマツ株式会社と.g Good Design Journalの企画広告です。


石黒知子

エディター、ライター

『AXIS』編集部を経て、フリーランスとして活動。デザイン、生活文化を中心に執筆、編集、企画を行う。主な書籍編集にLIXIL BOOKLETシリーズ(LIXIL出版)、雑誌編集に『おいしさの科学』(NTS出版)などがある。


倉科直弘

写真家

高校卒業後、アルバイトで出会った写真家に撮影方法を習う。2008年より大阪を拠点に作品を発表しながら、雑誌・広告の撮影を中心に活動している。

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