あなたのデザインが歴史に残る!「ロングライフデザイン賞」の魅力とは?
2025.04.18
長きにわたり、多くの人々に支持されているスタンダードなデザインに贈られる「ロングライフデザイン賞」。2025年度の応募受付が始まっています!自社製品の企業応募だけでなく、ユーザーとして長く愛用している商品やお気に入りのデザインの推薦も受け付けています。今回は審査委員の方にお話を伺いながら、この賞の魅力についてご紹介します。
ロングライフデザイン賞とは
毎日使うお気に入りの道具、見慣れた景色の一部になっている建物、日々の暮らしに欠かせないサービス。そんな、時代を超えて多くの人々に愛され続けてきたデザインを讃えるのが「グッドデザイン・ロングライフデザイン賞(以下ロングライフデザイン賞)」です。
この賞は、10年以上にわたって販売や供給が続けられ、これからもその価値が認められ、提供されると想定できるものが対象です。社会に良い影響を与えてきたデザインに注目し、使いやすさや美しさを兼ね備えたデザインを作り続けている人々や企業を讃えます。そして、この賞を通じて、これから生まれる未来のデザインのモデルを示すことも目的としています。
歴史あるデザインの多様な受賞作品
1980年の開始以来、ロングライフデザイン賞は、長年にわたり多くの人々に支持され続けている様々なデザインを表彰しています。これまでには、プロダクトやWebサービス・アプリ、建築、活動・取り組みなど、幅広い分野のデザインが受賞しています。
昨年度はきっと一度は誰もが見たことのある、「SEVEN CAFÉ」のコーヒーを提供するためのシステム・サービスや、生活用品として、文具の両面テープの「ナイスタック™」、家具などの分野では、彫刻家イサム・ノグチのAKARIシリーズである「和紙照明」などが受賞しました。
近年は、Webサービスやアプリの受賞も増えてきています。例えば、ニュースサイト「日経電子版」や、女性の健康情報サービス「ルナルナ」などが受賞。
10年以上続いているデザインが応募対象となるため、昨今次々と生み出されているWebサービスやアプリの受賞作品はこれからも数を伸ばす可能性が高いと予想されます。
今年度の対象となるのは、2016年以前に生まれ、現在も続いているデザインです。10年という時間を経ても、時代に流されることなく残り続けたデザインには、その時々を感じさせる要素や特徴があります。どのようなデザインが10年を超えて支持され続けたのか、選定には時代の変化が反映されています。
もっと広がる!信頼性と認知度アップのチャンス
ロングライフデザイン賞を受賞することで、次のようなさまざまなサポートを受けられます。
・エントリー費用・ 受賞後のオリジナルロゴマーク使用無料 ・表彰状・トロフィーの贈呈 ・受賞デザイン展への出展 ・受賞年鑑への掲載 ・販売・流通機会の提供
受賞ロゴマークを使用することで「よいデザイン」であるという信頼性が高まります。また、展示や年鑑への掲載であらためてそのデザインの価値が伝えられ、さらなる認知度の向上につながるチャンスも広がります。
審査委員が語る、変わらぬ価値と未来への可能性
ロングライフデザイン賞の審査では、発表された当初から確かな価値を持ち続けるデザインが、年月を重ねる中で社会にどのような影響を与えてきたのか、今も人々に愛されている理由や未来に向けての可能性について議論がされています。
昨年度重視したポイントや、この賞が企業やデザイナー、そして社会にとってどのような価値を持つのかについてお話を伺いました。
株式会社虎屋 代表取締役社長 黒川光晴さん
どのような視点で審査をされましたか?
普段から、百年を越えて受け継がれている商品を扱っていますので、後世に繋ぐことを常に考えています。同様に、選ばれる作品が百年後の未来にも残り、その時見返して素晴らしい作品だと変わらず思えるものかを意識しました。
ロングライフデザイン賞の意義とは何だと思いますか?
作品のロングライフを考えるには、作品がその瞬間に存在できるだけでなく、それを支えるサプライチェーンの持続性を含めたデザインが必要になります。この賞は、作品の総合的なサステイナビリティを考える視点も与えてくれていると思います。
株式会社ビームス fennica ディレクター 菊地 優里さん
どのような視点で審査をされましたか?
まずはデザインの観点から見て優れていること(それは造形としてのデザインと、取り組みとしてのデザイン両方の意味を持っている)はもちろんのこと、長い年月(具体的には10年以上)を経て多くの人々に愛され、認知されているという点を前提にしています。 その中でも特に重視し、議論にあがったのはなぜ今年なのかという時代性を考慮している点だと考えております。防災頭巾であれば、昨今の災害時への意識を高める意味もあるかもしれない、や、カウンターコーヒーであればやはりセブンイレブンが先駆者でありここまで日本中に広まり、そして今年で10年目であるということは節目としてロングライフデザインにふさわしいのではないか、など。
ロングライフデザイン賞の意義とは何だと思いますか?
単に長く残っている、ということだけではなくどのように人々に愛され、これまでの社会にどのように影響を与えてきたのかという点も加味しております。そのため、よりよい社会を目指すためのデザインとしての指標になるような位置づけだと思っています。 この賞が企業やデザイナーさまにとって、何かしらのお手本になりその後にそれを越えるようなデザインを目指してもらえたら大変嬉しく思います。
ロングライフデザイン賞は、長く受け継がれるデザインを讃える賞であり、応募・審査のプロセスを通じて、未来の「スタンダード」が生まれていく場でもあります。
デザインによって、暮らしや社会をよりよくする、長く愛されるデザインのご応募をお待ちしております!
朝倉千恵子
執筆
書店で働きながら本や映像を制作する。TABF2024に参加。チェルフィッチュ『三月の5日間リクリエーション』や『リビングルームのメタモルフォーシス』に参加するなど俳優としても活動している。
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